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花道に必要な道具とは?使い方や種類を解説!

記事作成日:2025.05.15
華道や生け花を始めたいと思っても、どんな道具が必要なのか分からず悩んでいませんか?初めての方は「何から揃えれば良いの?」「高価な道具ばかり必要なのでは?」と不安に感じるかもしれません。実は、基本的な道具さえあれば気軽に始められるのが華道の良いところです。本記事では、華道・生け花に必要な基本道具と便利なアイテム、そして選び方のポイントについて詳しく解説していきます。
花道に必要な道具とは?使い方や種類を解説!

目次

華道の基本道具を知ろう

華道や生け花を始めるにあたり、まずは基本的な道具について知っておくことが大切です。初心者が必ず揃えるべきものから、あると便利なアイテムまで、順を追って説明していきます。

1-1初めての華道・生け花に必要なもの

華道や生け花を始める際に最低限必要な道具は、意外と少ないのです。基本的には以下のものがあれば、まずは始めることができます。
・花鋏(はなばさみ)
花材をカットするための専用はさみ
・花留め(はなどめ)
剣山やオアシスなど、花を固定するための道具
・花器(かき)
花を生ける器や花瓶
・花袋(はながばん)
花材を持ち帰るための袋
特に初心者の場合、花鋏と花袋は自分で用意し、花留めと花器は教室で借りることも多いでしょう。華道教室に通う場合は、事前に先生に確認してから必要なものを揃えるのがおすすめです。

1-2華道教室での道具の借り方

華道教室では、多くの場合、花器や剣山などの基本道具を借りることができます。初心者のうちは、自分で全ての道具を揃える必要はないでしょう。教室で道具を借りる際には、丁寧に扱い、使用後は水気をしっかり拭き取って清潔な状態にしておくことが大切です。万が一破損した場合は、すぐに先生に報告しましょう。
教室のルールに従い、借りた道具は決められた場所に戻すようにします。道具を大切に扱うことで、周りの人との良好な関係も築けます。慣れてきたら、少しずつ自分の道具を揃えていくと良いでしょう。特に頻繁に使う花鋏などは、自分専用のものを持つことで技術の向上にもつながります。

花鋏の種類と正しい使い方

華道において花鋏は最も基本的かつ重要な道具です。花材を適切にカットすることで、水の吸収を促し、長持ちさせられます。様々な種類の花鋏があるので、それぞれの特徴を理解しましょう。

2-1花鋏の特徴と選び方

花鋏は一般的なはさみとは異なり、花材の繊維を潰さずに切断できるよう設計されています。切れ味が良く、太い枝や硬い茎も簡単に切れるのが特徴です。
花鋏を選ぶ際のポイントは以下の通りです。
・手のサイズに合ったものを選ぶ(長時間使っても疲れにくいもの)
・材質を確認する(鉄製、ステンレス製など)
・切れ味の良さをチェックする
・重さやバランスを確認する
花鋏は素材によって特性が異なります。鉄製は切れ味が良く、柔らかい素材も切りやすいですが、手入れが必要です。一方、ステンレス製はサビにくく手入れが簡単ですが、硬い素材を切る際には不向きな場合もあります。自分の用途に合ったものを選びましょう。

2-2流派による花鋏の違い

華道には様々な流派があり、使用する花鋏も流派によって異なることがあります。主な違いは握り手の形状にあります。主な花鋏の種類としては、わらび手(わらびで)とつる手(つるで)の2種類があります。わらび手は池坊や草月流などで使用され、つる手は古流系の流派で好まれる傾向があります。
わらび手は名前の通り、わらびの形に似た持ち手を持ち、比較的コンパクトで細かい作業に適しています。一方、つる手は大きく丸みを帯びた持ち手で、長時間使用しても疲れにくいという特徴があります。自分が所属する流派に適した花鋏を選ぶことが大切ですので、教室の先生に相談して選ぶのが良いでしょう。また、左利き用の花鋏もありますので、必要な方は専門店で探してみてください。

2-3花鋏の正しい持ち方と切り方

花鋏の正しい持ち方と使い方を知ることで、花材を傷めずにきれいに切ることができます。また、手の疲れも軽減できます。正しい持ち方は、親指と中指を輪に入れ、人差し指を刃の根元に添えて安定させます。力を入れすぎず、手首のスナップを利かせて切ると、花材を潰さずにきれいに切ることができます。刃先ではなく、刃の根元付近で切ると力が入りやすくなります。
切り方のポイントとしては、茎を斜めに切ると水の吸収面積が増えて花が長持ちします。角度は45度程度が理想的です。硬い茎や太い枝を切る場合は、一度に無理に切らず、少しずつ角度を変えながら切るとよいでしょう。また、切断面が潰れないように注意し、必要に応じて複数回切り直すことも大切です。正しい持ち方と切り方を身につけることで、作品の質も向上します。

花留めの種類と活用法

花留めは、花材を花器の中で安定させるための重要な道具です。適切な花留めを使うことで、思い通りの位置に花を固定でき、美しい作品を作ることができます。

3-1剣山の選び方と使い方

剣山は花留めの代表的な道具で、針状の突起がある金属製の台です。花の茎を突き刺すことで固定します。剣山を選ぶ際は、花器のサイズに合ったものを選ぶことが重要です。小さすぎると安定せず、大きすぎると花器からはみ出してしまうことがあります。針の密度と長さもチェックしましょう。密度が高いほど細かい調整が可能です。
また、用途に合わせて形状(丸型・四角型など)を選ぶことも大切です。重さも選ぶポイントの一つで、重いほど安定しますが、扱いにくい場合もあります。使用時は花器の底に剣山を置き、必要に応じて粘土やテープで固定します。花材の茎はしっかりと剣山に差し込みましょう。使用後は水でよく洗い、水気を拭き取って保管することで、長く使えます。

3-2オアシスの特徴と使用方法

オアシスは吸水性のあるスポンジ状の素材で、花を挿し込んで固定するための花留めです。水を含ませて使用するため、花の鮮度を保つのに適しています。オアシスの使用方法は非常に重要です。まず、オアシスを水に浮かべ、自然に沈むまで待ちます。押し込むと気泡ができてしまい、水の吸収が均一にならないので注意しましょう。
水を十分に含ませたら、花器のサイズに合わせてカットします。次に花器に固定し、花材をゆっくりと挿し込みます。この時、一度抜いた場所には再度挿さないように気をつけましょう。穴が大きくなってしまうと、花材が安定しなくなります。
オアシスは特に西洋風のアレンジメントによく使われますが、華道でも活用されることが増えています。花材を自由な角度で固定でき、水も供給できるため、初心者にも使いやすい花留めの一つです。

3-3その他の花留め道具について

剣山やオアシス以外にも、様々な花留め道具があります。亀甲(きっこう)は六角形の穴が開いた金属製の花留めで、特定の流派で好まれます。七宝(しっぽう)は丸い穴が開いた金属製の花留めで、伝統的な生け花によく使われます。これらは剣山と違い、花材をより自然な状態で固定できるという特徴があります。
また、ワイヤーは花材を固定したり形を整えたりするのに使用され、特に現代的な生け花では重要な道具となっています。フラワーテープはワイヤーを巻いたり、花材をまとめたりするのに使用します。これらの道具は、花材の種類や作品のスタイルによって使い分けます。
例えば、細い茎の花を複数まとめる場合はフラワーテープが便利です。また、曲げたい茎にはワイヤーを使うことで自由な形を作ることができます。様々な花留め道具を知っておくと、表現の幅が広がるでしょう。

花器の種類と選び方

花器は生け花の作品の重要な要素であり、花材と共に作品の印象を決める大きな要因です。様々な種類の花器があり、それぞれに特徴があります。

4-1花器の基本的な種類

花器には様々な形状があり、用途や生け方によって選ぶものが異なります。基本的な花器の種類としては以下のようなものがあります。
・水盤(すいばん)
平たい皿のような形状で、広がりのある低い作品に適しています。
・寸胴(ずんどう)
筒型の花器で、縦長の作品を生けるのに向いています。
・壺(つぼ)
口が狭く胴が膨らんだ形状で、曲線的な作品に適しています。
・鉢(はち)
口が広く浅い形状で、幅広い作品を生けることができます。
それぞれの花器は生け方の違いにより使い分けられます。初心者は基本的な水盤と寸胴から始めると良いでしょう。
また、現代的な生け花では、伝統的な花器だけでなく、日常的に使用する容器や現代アートのようなオブジェを花器として使用することもあります。自分の作品のスタイルに合った花器を選ぶことが大切です。

4-2素材別の花器の特徴

花器は様々な素材で作られており、素材によって異なる印象を与えます。陶器は温かみがあり、和風の作品に合います。土の質感が自然な雰囲気を醸し出し、特に伝統的な生け花には欠かせない素材です。ガラスは透明感があり、花の茎の様子も楽しめます。現代的でスタイリッシュな印象を与えるため、モダンな作品によく使われます。
金属製の花器は銅や真鍮などがあり、重厚感とモダンな印象を与えます。特に銅製の花器は時間と共に風合いが変化し、独特の味わいが出るのが特徴です。木製の花器は自然な風合いがあり、シンプルな作品に合います。
軽量で扱いやすいのが特徴ですが、水を含むと変形することがあるため注意が必要です。プラスチック製の花器は軽量で扱いやすく、割れる心配がないため初心者に適しています。素材によって水の蒸発速度や保温性も異なるため、季節や花材に合わせて選ぶことも大切です。

4-3季節や作品に合わせた花器選び

花器は季節や作品のテーマに合わせて選ぶことで、より効果的な表現が可能になります。春には明るい色調の陶器や淡い色のガラス製花器が適しています。
春の花は色彩が豊かなものが多いため、花器は控えめな色合いを選ぶと花が引き立ちます。夏は涼しげなガラス製や透明感のある花器が好まれます。水の存在感を活かした花器は、夏の暑さを和らげる印象を与えます。
秋には茶色や深い色調の陶器、銅製の花器が適しています。落ち着いた色合いが秋の情景に調和します。冬は重厚感のある陶器や金属製の花器が好まれます。寒さに耐える強さを表現するのに適しています。
また、作品のテーマや場所に合わせて選ぶことも大切です。和室には陶器の花器が調和しやすく、現代的なインテリアにはガラスや金属製の花器が映えることがあります。花器選びは作品の印象を左右する重要な要素ですので、様々なタイプを試してみると良いでしょう。

4-4花器のお手入れ方法

花器を長く美しく使うためには、適切なお手入れが必要です。使用後は必ず水を捨て、花器の内側をよく洗いましょう。特に花の汁や葉の破片が残りやすいので、ブラシなどを使って丁寧に洗うことが大切です。洗剤を使用する場合は中性洗剤を選び、柔らかいスポンジで優しく洗います。強い洗剤や硬いたわしは表面を傷つける恐れがあるので避けましょう。
乾燥させる際は自然乾燥させ、直射日光は避けます。特に木製や漆塗りの花器は直射日光により変色することがあります。金属製の花器は水気をしっかり拭き取り、錆びを防ぐために定期的に専用のクリーナーでケアすることをおすすめします。
特に陶器の花器は水垢がつきやすいので、使用後のケアが重要です。また、貴重な花器や古い花器は特に丁寧に扱い、必要に応じて専門家にクリーニングを依頼することも検討しましょう。適切なケアを行うことで、花器の美しさを長く保つことができます。

便利な補助道具を活用しよう

華道の基本道具に加えて、作業をより快適にし、作品の質を高めるための補助道具があります。これらを上手に活用することで、生け花の楽しさがさらに広がります。

5-1花合羽と花袋の用途

花合羽(はながっぱ)と花袋(はなぶくろ)は、花材を持ち運ぶための道具です。華道教室での稽古後に花材を持ち帰る際に特に役立ちます。花合羽は、ナイロンや防水性のある布で作られた風呂敷のようなもので、花材を包んで持ち帰るために使います。花材を中央に置き、四隅を集めて包むことで、水滴が漏れずに持ち運ぶことができます。
花袋は、花材を入れるための専用の袋で、持ち手がついているものが多いです。花材の茎を下にして入れ、花が傷まないように注意します。最近ではファスナー付きのものや、内側が防水加工されているものなど、様々なタイプが販売されています。
どちらも水濡れを防ぐ機能があるので、服やバッグが濡れるのを防げます。初心者の方は、まずはどちらか一つを用意しておくと良いでしょう。特に公共交通機関で通う方は、持ち運びやすい花袋がおすすめです。

5-2エプロンと割烹着の選び方

華道の作業中は水や土で服が汚れることがあるため、エプロンや割烹着があると便利です。エプロンを選ぶ際は、素材は吸水性と速乾性のあるものが良いでしょう。水を扱うことが多いため、すぐに乾く素材が理想的です。ポケットがついているとハサミなどの小物を入れられて便利です。作業中にすぐに道具を取り出せるため、効率よく作業ができます。
汚れが目立ちにくい色や柄のものもおすすめです。特に花材の汁が付いても目立ちにくい暗めの色や、柄のあるデザインが実用的です。動きやすさを考慮し、サイズは少し大きめのものを選ぶと良いでしょう。
割烹着は袖付きのため、より広範囲を保護できます。和服での稽古に適していますが、洋服の場合でも使いやすいデザインのものもあります。自分の服装や作業スタイルに合わせて選びましょう。

5-3水差しとじょうろの使い方

水差しとじょうろは、花器に水を補給するための道具です。水差しは細長い注ぎ口を持ち、花器の隙間から正確に水を注ぐのに適しています。
使用する際は、水の量を調節しながらゆっくりと注ぐことがポイントです。特に生けた花材の間から水を注ぐ場合は、花や葉を傷めないように注意しましょう。水差しは持ち方によって注ぐ量が変わるので、少しずつ慣れていくと良いでしょう。
一方、じょうろは大量の水を注ぐのに向いており、複数の花器に水を補給する場合に便利です。特に大きな花器や水盤には、じょうろを使うと効率的に水を入れることができます。
じょうろを選ぶ際は、注ぎ口が細く、水の勢いを調節できるものが使いやすいです。花材や剣山を傷めないよう、直接当たらないように注意しましょう。初心者の方は、まずは基本的な水差しから始めると良いでしょう。慣れてきたら、用途に応じてじょうろも活用してみてください。

5-4剣山おこしとその重要性

剣山おこしは、剣山の針が曲がったり折れたりした時に修復するための道具です。剣山は使用しているうちに針が曲がることがあります。そんな時に剣山おこしを使うと、曲がった針をまっすぐに戻すことができます。また、花器から剣山を取り出す際にも使用します。剣山を直接手で触ると怪我をする恐れがあるため、剣山おこしを使って安全に取り出すことが大切です。
剣山おこしは、先端が平たく強度のある金属製の道具で、剣山の針の間に差し込んで持ち上げたり、曲がった針を起こしたりするのに使います。使用する際は、剣山を花器から取り出す場合は、剣山おこしを剣山の横から差し込み、てこの原理で持ち上げます。
曲がった針を修正する場合は、剣山おこしを使って優しく起こします。剣山の針の間の汚れを取り除く際にも活用できます。剣山おこしは必須道具というわけではありませんが、剣山を長持ちさせるためには非常に役立つアイテムです。特に自宅で頻繁に生け花を楽しむ方には、一つ持っておくことをおすすめします。

上級者向けの専門道具

華道の技術が上達するにつれて、より高度な表現を実現するための専門的な道具も必要になってきます。以下では、上級者向けの道具について紹介します。

6-1敷板と花台の役割

敷板(しきいた)と花台(かだい)は、作品をより美しく見せるための台座となる道具です。敷板は平たい板状のもので、花台は高さのある台です。敷板は花器の下に敷くもので、花器と置き場所の間に視覚的な区切りを作ります。これにより、作品の存在感が増し、より引き立てる効果があります。木製や漆塗りのものが一般的で、花器が直接テーブルに触れないようにする役割もあります。
花台は作品に高さを与え、視線の位置を調整するために使用します。例えば、床に直接置くよりも花台に載せることで、作品を見る際の視点が変わり、より鑑賞しやすくなります。様々な高さや形状のものがあり、作品の印象を大きく変えることができます。
これらは初心者には必須ではありませんが、作品の完成度を高めたい場合や展示会など特別な場で作品を披露する際には重要な役割を果たします。流派や作品のスタイルに合わせて選ぶと良いでしょう。

6-2のこぎりと剪定ばさみの活用法

のこぎりと剪定ばさみは、太い枝や硬い茎を切るための道具です。花鋏では切れない太さの枝を使う場合に必要となります。のこぎりは木の幹や太い枝を切断するのに適しており、特に自然素材を多用する作品や大型の作品を制作する際に活躍します。生け花用ののこぎりは一般的な大工道具より小さめで扱いやすく設計されています。
使用する際は安全に注意し、枝を安定させることが大切です。切断面が滑らかになるようにゆっくりと引いて切るのがコツです。剪定ばさみは花鋏より大きく、太い枝を切るのに適しています。
レバー式のものが多く、少ない力で太い枝も切ることができるため、長時間の作業でも疲れにくいのが特徴です。これらの道具を使用する際は手を保護するため、必要に応じて手袋を着用するのも良いでしょう。使用後は花鋏と同様に手入れをすることで、長く使い続けることができます。

まとめ

華道・生け花を始めるには、基本的な道具から揃えていくことが大切です。花鋏、花留め、花器などの基本道具は、作品の質を左右する重要なアイテムです。初心者のうちは教室で借りることができる道具も多いので、徐々に自分の道具を増やしていけば良いでしょう。道具選びは流派や自分の手の大きさに合わせて行い、長く使うものには少し投資することをおすすめします。また、花材の処理方法や水揚げのコツを学ぶことで、作品をより長く美しく保つことができます。華道は伝統ある日本の文化です。適切な道具を使いこなし、季節の花と向き合うことで、豊かな花の世界を体験してください。始めるのに遅すぎることはありません。ぜひ一歩を踏み出してみましょう。

日本インストラクター技術協会編集部
インストラクターの専門性を高めるためや地位向上を目的とした団体である日本インストラクター技術協会(JIA)編集部が運営するコラムです。
美容・健康・ボディケアの資格の筋トレインストラクター、シェイプアップインストラクターや骨格診断士。心理カウンセラー資格のメンタル心理インストラクター、子供心理カウンセラー®、音楽療法カウンセラーや行動主義心理アドバイザー®など様々な資格を認定しています。
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