整体師が儲からないと言われる理由は色々考えられますが、特に以下の3つがあげられます。
・競合が多い
・スキルが不足している
・業務内容が専門的で難易度が高い
詳しく解説していきます。
整体院や整骨院の儲からないと言われる理由の一つは、競合の多さです。
厚生労働省が発表した「令和4年衛生行政報告書（就業医療関係者の概況）」では、「あん摩、マッサージ、および指圧を行う施術所」の数は非常に多く、業界内での競争が激しいことがわかります。
| 施術所 | 令和4年 | 令和2年対比 |
|---|---|---|
| あん摩、マッサージ及び指圧を行う施術所 | 18,155 | −187 |
| はり及びきゅうを行う施術所 | 33,986 | 1,883 |
| あん摩、マッサージ及び指圧、はり並びにきゅうを行う施術所 | 38,589 | 280 |
| その他の施術所 | 2,660 | −1 |
| 柔道整復の施術所 | 50,919 | 555 |
引用：「令和4年衛生行政報告書（就業医療関係者の概況）」
整体業界は競争が激しく、特に新規開業者にとっては、周囲の競合店舗との競争が厳しいものとなります。十分な顧客を確保できなければ、経営が困難になる可能性があります。
実際に、多くの整体師が独立開業を果たすものの、競争の激しさから思うように集客できず、事業が軌道に乗る前に廃業するケースも見られます。
開業を考えている場合は、事前に市場調査を行い、差別化戦略を練ることが重要です。
三つ目は、スキル不足です。
お客様を満足させられなければ、リピーターになる確率も低いからです。
理由:
施術の質が低ければ、顧客が他の整体院や整骨院を選ぶ可能性が高くなります。顧客満足度が低ければ、自然とリピーターが減り、経営に悪影響を与えるからです。
例証:
スキルアップの方法として、柔道整復師やあん摩マッサージ指圧師などの資格を取得することが考えられます。資格取得には時間や費用がかかりますが、長期的には収入が増える可能性があります。また、顧客にアンケートを実施することで、自分の不足しているスキルを把握し、改善することができます。
提案:
施術スキルを向上させるために、資格の取得を検討するとともに、アンケートを活用して顧客のニーズを理解し、自分のスキルを客観的に評価することをおすすめします。これにより、顧客満足度が向上し、リピーターの増加に繋がるでしょう。
整体師の仕事は、専門的であり、深い知識と高度な技術が必要です。
知識だけでなく人体についての知識と経験に基づいた技術は不可欠だからです。
整体師は、関節や骨格に関する深い知識を持ち、それを施術に活かして歪みを矯正します。国家資格は必要ないものの、知識と技術はもちろん、経験も不可欠です。さらに、お客様と接する際には、コミュニケーション能力も求められます。
知識や技術は、すぐに身につくものではありません。そのため、下積み時代の収入は低くなる傾向があるでしょう。整体師として成功するためには、専門的な知識と技術、そして優れたコミュニケーション力を長期間かけて身につける必要があります。
整体師として働く場合、職場によっては収入は上がりにくいでしょう。
例えば、特に基本給がメインの職場では、収入は安定しますが、大幅な昇給は期待しにくいでしょう。一方で、歩合給が導入されている場合は、多くのお客様から指名を受けることで、より高い給料を得る可能性があります。
自分の働き方に合った収入モデルを選ぶことが大切です。安定を求めるか、それとも収入の可能性を追求するか、キャリアの方向性をよく考えるといいでしょう。
整体師の収入は、様々な要素で構成されています。
職場によって異なるため、収入に大きな影響を与えます。
整体師の収入は、基本的には以下のようなものが含まれます。
・基本給
・歩合給
・各種手当
・賞与
・残業代
しかし、基本給以外のどの項目が含まれているかは職場によって異なります。
たとえば、基本給に加えて医療系国家資格を持つことで手当がつく職場では、柔道整復師や理学療法士などの資格が収入アップにつながります。また、民間資格でも手当がつくことがあります。
さらに、賞与が支給される職場や、歩合給が導入されている店舗では、利用者からの指名が多いと給与が上がることもあります。
自分に合った職場を選ぶ際は、収入を構成する要素を確認し、資格取得やスキルアップを通じて手当を増やせる環境を選ぶことが重要です。
整体師には、様々な働き方があり、働き方によって収入も変わります。
ここでは、働き方を4つに分けて解説していきます。
アルバイトの場合、時給は1,000〜1,200円程度です。
スキルによっては、より高い時給が支払われる場合もあります。
最近は、時給1,500円以上の整体院もあり、地域や店舗によってアルバイトでも高収入が期待できる場合があります。また、資格を持っている場合は、優遇される可能性があるので、資格を取得することで収入を上げやすくなるでしょう。
収入を増やしたい場合は、スキルアップや資格取得を目指すことが効果的と言えるでしょう。
正社員で働く場合、新人の月収は一般的に15〜20万円程度です。
しかし、整体の専門学校を卒業していたり資格を保有してると、20万円以上からスタートすることもあります。
保有している資格の数に応じて手当が加算されるため、初任給から月収が25万円を超える場合もあるでしょう。
整体師として正社員で働きたい場合は、専門学校の卒業や資格の取得を目指すことで、より高い月収を得られる可能性が高まります。
正社員で働く場合、店長クラスの月収は一般的に30万円程度です。
店長には歩合給も支給されるため、店舗の売上が良ければ年収500〜600万円以上も期待できます。
正社員の整体師として働いた場合は、まずは店長を目指すことで、年収を大きく増やすチャンスがあるでしょう。働きながら、技術力はもちろん店舗運営スキルや集客力を磨くことが重要です。
独立・開業した場合、収入は大きく変動する可能性があります。
給料が保証されないためです。
独立・開業すると、施術単価を自分で設定できる点が収入を増やす大きなメリットです。
例えば、1人当たりの施術単価を5,000円に設定し、1日に5名の施術を行うと、1日の売上は2万5000円になります。このペースで月25日営業すれば、月の売上は63万円、年間では750万円となります。経費を差し引くと、年収500万程度となるでしょう。さらに集客をすることができれば、年収1000万も目指せます。
整体院の開業を考えている場合は、具体的な計画を立て、収益モデルをしっかりと考えることが重要です。
ここでは、整体院で働く整体師が収入を上げる方法をつご紹介します。
整体師として成功するためには、常に知識やスキルを磨き続けることが重要です。
整体の分野は常に進化しており、新しい技術や知識が次々と登場するからです。
例えば、解剖学や生理学の基本的な知識に加え、最新の研究結果を学び続けることで、より高度なスキルと深い理解を得ることができます。また、日々の施術経験を積み重ねることで、体の不調を取り除くプロフェッショナルとして成長でき、施術の効果を最大限に引き出すことができるでしょう。
整体師として成功するには、基本と最新情報の両方に精通し、経験を積みながら常に学び続けることが不可欠です。
資格を取得することで、収入アップを期待できます。
勤務する整体院によっては、保有資格に応じて資格手当がつくことがあるからです。
例えば、初めて来院したお客様が整体師を選ぶ際、どのような資格を持っているかが判断材料の一つとなることが多いです。
主な資格は以下の通りです。
| 資格名 | 資格種類 |
|---|---|
| 柔道整復師 | 国家資格 |
| あん摩マッサージ指圧師 | 国家資格 |
| 鍼灸師 | 国家資格 |
| 国際ホリスティックセラピー協会認定整体師 | 民間資格 |
| 整体セラピスト | 民間資格 |
| ゆがみ矯正インストラクター | 民間資格 |
| ボディケアセラピスト（一般社団法人日本ボディケアセラピスト協会） | 民間資格 |
| 認定登録カイロプラクター | 民間資格 |
整体の正しい知識や技術を持っている証明になり、指名を受けやすくなるため、インセンティブにもつながります。また、リフレクソロジーやエステなどの関連資格を取得することで、提供できる施術の幅が広がり、技術力の向上にも繋がります。
整体師は、経験を積むことで昇給が期待できます。
整体師の収入は、3年程度の経験があると給与額が考慮されるケースが多いからです。
例えば、整体に関する知識や技術を向上させながら、経験を積んでいくことで、昇給が実現しやすくなります。経験を積むと、自分の強みが見え、他の整体師との差別化を図れます。また、指名を多く獲得できると実力が認められ昇給が期待できるでしょう。
整体師としてのキャリアを成功させるためには、経験を積むだけでなく、努力と学習を怠らないことが鍵となります。
整体師として習得した施術スキルを活かして、副業収入を得ることも可能です。
例えば、セミナーの開催、DVDの販売、コンサルタントサービスの提供といった手段があります。さらに、オンライン講座やブログ、YouTubeチャンネルの運営など、デジタルプラットフォームを活用することで、幅広い受講者や視聴者にアプローチし、収入源を増やすことが可能になります。
整体師としての知識を横展開することで、長期的かつ安定した収益を目指せます。
現在の職場で昇給が見込めない場合、より好待遇の職場への転職を検討するのも一つの手段です。
例えば、整体師としてキャリアをスタートしたばかりの頃は、基本給がメインの職場で経験を積み、その後、自信をつけた段階で歩合給の高い職場に移ることで、より高い収入を得ることができます。自身の成長と収入アップを同時に実現するための効果的な方法です。また、転職によって給料や福利厚生が逆に悪化しないよう、雇用条件を十分に確認することが必要です。たとえば、給与体系や昇給の仕組み、福利厚生の内容についてしっかりとリサーチし、自分にとって最適な職場を選ぶことが成功の鍵となります。
昇給が見込めない現状を打破するためには、転職を検討し、自身のキャリアをより好待遇の環境で築いていくことが重要と言えるでしょう。
年収を大幅に上げたい場合、整体師として独立開業するのが効果的です。
給与体系や昇給には限界があり、どれだけ頑張っても600万円が限界といわれているからです。
前述していますが、独立・開業すれば、収入は完全に自分の力量次第となり、経営が成功すれば年収1000万円以上も可能です。経営の知識は必要ですが、それを乗り越えれば、さらに高い収入を目指すことができます。
より高い年収を望むなら、経営スキルを身につけて、独立開業を視野に入れるといいでしょう。
ここでは、整体師が独立・開業した場合の収入を増やす方法を詳しく解説します。
整体院を開業する場合、マーケティング力をつけておくことが重要です。
お客様を集客するためには、効果的なマーケティングが不可欠だからです。
マーケティングとは、商品やサービスが売れる仕組みを作ることで、どれだけ高い技術力があっても、自分の店舗の存在をお客様に知ってもらえなければその力を発揮できません。また、他店との差別化やお客様のニーズに沿ったサービスを提供できなければ、整体院の魅力を伝えることは難しいでしょう。
まずはターゲットを明確にし、それに合わせたマーケティング戦略を立てることで、整体院の集客を効果的に行うことができます。
施樹メニューに独自性を取り入れると、競合と差別化できます。
他店と同じようなメニューだと、施術の技術がよほど高くない限りリピートに繋がらない可能性が高いからです。
例えば、「ボディメイク」や「ダイエット」など、施術とトレーニングを組み合わせることで、お客様が施術効果を実感しやすくなります。また、トレーニングは継続して取り組むことで効果を発揮するため、会員制の導入にもつなげやすいでしょう。
施術メニューに独自性を出すことで、競合との差別化につながり、収入アップの可能性が大いにあります。
整体院を開業し収入を増やすためには、効果的な宣伝が重要です。
より多くの人にお店を知ってもらえば、集客が期待できるからです。
例えば、SEO対策を施したホームページを持ち、MEO対策で地域の検索結果に表示されるようにすることで、新規顧客を効果的に獲得できます。また、SNSを活用して定期的に情報発信を行うことで、リーチを広げ、集客力を高めることができるでしょう。
デジタルマーケティングに詳しくない方は、業者に業務委託してもいいでしょう。
より多くの人に自分の店を知ってもらうには、効果的でこまめな宣伝活動が収入アップにつながるでしょう。
物販を効果的に行うと、施術とは別に売上の柱を作ることができます。
適切な商品が提供できると、お客様に更なる価値を生み出せます。
例えば、サポーターやクリーム、サプリメントなどは、施術効果の促進や健康増進に役立つ商品です。品質の良い商品を提供することで、お客さまの健康管理をサポートし、信頼を得られるでしょう。
物販を取り入れることで、収益の多様化を図りながら、お客さまにとってもメリットのあるサービスを提供できます。
顧客単価を上げると、収入アップが期待できます。
高単価サービスを提供することが、収入を伸ばすための重要な戦略となるからです。
例えば、通常の整体施術にプラスして、アロマオイルを使用する場合は料金を追加し単価を上げます。また、回数券や月額プランなど、長期間にわたる施術をまとめたパッケージを提供します。高価格なプランには、特別なサービスや優先予約などの特典を付け加えると単価を上げることができます。
1人で運営している整体院の場合、対応できる患者数に限りがあるため、収入を増やすには単価を上げることが不可欠です。売上を伸ばすためには、顧客単価を意識的に上げることが非常に重要と言えるでしょう。
１店舗の運営が軌道に乗ったら、店舗数を増やすことで収入の大幅アップが期待できます。
店舗数の増加に比例して収入が増加し、年収を億単位まで引き上げることも可能です。
多店舗展開するには、組織作りやスタッフ教育、施術の仕組化が必要となります。
経営の難易度は上がりますが、整体師として大きな年収を目指す方にとって、多店舗展開は魅力的な選択肢と言えるでしょう。
収入を大幅に増やしたいと考える経営者にとって、多店舗展開は挑戦する価値のある方法です。
ここでは、整体師が儲からないと言われる理由や、働き方別の平均収入、収入をアップさせる方法などを詳しく解説してきました。
整体師として収入を上げるための最大のポイントは、独立するかどうかの選択にあります。しかし、収入が低下してしまったら本末転倒です。独立を考える前に、自分が経営者向きかどうかを慎重に考えることが重要です。
独立することでこの収入を大きく上げる可能性がありますが、そのためには施術スキルだけでなく、経営に関する知識も必要です。また、独立せずに高い収入を目指す場合でも、指名客を多く獲得し、インセンティブを得ることで収入を増やすことができます。
整体師として高年収を目指すためには、施術スキルの向上だけでなく、経営やマーケティング、接客といった多岐にわたる知識やスキルを貪欲に学び、自身のキャリアを総合的に磨いていくことが求められるでしょう。独立を目指すか否かに関わらず、これらのスキルは収入アップに直結する大きな要素となります。経営者としての適性があると感じたら、ぜひ施術と並行して経営に関する知識も広げ、成功への道をしっかりと築いていきましょう。
