ピラティスインストラクター資格

ピラティススタジオを開業するには?必要な準備やステップを詳しく解説

記事作成日:2025.01.24
「ピラティススタジオを開業するにはどんな手順で行えばいい?」
「ピラティススタジオを開業する場合の初期費用はいくら必要?」

上記のようなお悩みをお持ちの人も多いのではないでしょうか。
ピラティススタジオの開業には、事業計画の立案や資金調達、適切な物件選びなど、さまざまな準備が必要です。
この記事では、ピラティススタジオを開業するまでのステップや必要な準備を詳しく解説します。成功するためのポイントもお伝えしますので、ピラティススタジオを開業するための道筋が見えてくるでしょう。
ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
ピラティススタジオを開業するには?必要な準備やステップを詳しく解説

目次

ピラティススタジオの営業形態4選

ピラティススタジオの営業形態は、以下の4つです。

・自宅で開業する
・テナントを借りる
・レッスンの度にスタジオを借りる
・オンライン配信

詳しく解説していきます。

1-1自宅で開業する

自宅でピラティススタジオを開業する場合、物件費用がかからず、少ないスペースで始められます。
マットピラティスであれば、専用の設備や広いスペースが不要なため、自宅の一室を活用して手軽に始めることが可能です。

たとえば、自宅のリビングルームをスタジオとして利用すれば、初期費用を大幅に抑えられます。しかし、住宅街での開業では、近隣住民の理解を得るために配慮が必要です。また、定員が限られるため、大人数でのレッスンには適さない場合もあるでしょう。

自宅での開業は、低コストで始められる反面、集客や環境面での課題もあるので計画的な準備が必要です。

1-2テナントを借りる

テナント物件を借りてスタジオを開業するのは、ピラティススタジオを運営する上で一般的な選択肢と言えるでしょう。
テナント物件での開業は、立地や規模を自由に選べるため、ターゲット層に合わせた環境を整えやすいです。

たとえば、駅近の物件を選ぶと、仕事帰りや買い物ついでに通いやすいスタジオとして、多くのクライアントを獲得できます。一方で、物件取得費用や月々の賃料といったコストが発生するため、収支バランスの計画が重要です。

1-3レッスンの度にスタジオを借りる

レッスンの度にスタジオや公民館などをレンタルする方法は、開業費用をかけずに始められます。
固定費がかからないため、初期投資を抑えながら活動をスタート可能です。

たとえば、地域の公民館を利用すれば、安価にスペースを借りられます。また、自由に場所を選べるため、受講者が多いエリアや特定のクライアント層に近い場所でレッスンを開催可能です。しかし、人気の会場では予約が取りにくい場合もあるため、計画的な運営が必要と言えるでしょう。

レッスンごとのレンタルは、手軽に始められる点が魅力的です。

1-4オンライン配信

オンライン配信は、コストを抑えながら場所を問わずレッスンを提供できる、最近人気の手段です。
インターネットを通じてのレッスン動画配信は、生徒の居住地に関係なくレッスンを受けてもらえるためです。
たとえば、ライブ配信や録画動画を活用すれば、時間や場所に制約のある生徒にも柔軟に対応可能です。しかし、オンラインでは直接的な指導が難しいため、フォームの確認が限定的になるので、マシンピラティスを行うのは現実的ではありません。また、オンライン特有の課題として、集客にはSNSや広告を活用するなどの工夫が必要でしょう。

オンライン配信はコストを抑えつつ、幅広い生徒にリーチでき、ファン作りができるのでおすすめの方法と言えるでしょう。

ピラティススタジオを開業するまでの4つのステップ

ここでは、ピラティススタジオを開業するまでの4つのステップを紹介します。

・ステップ1:事業計画を立てる
・ステップ2:テナントを借りる場合は物件を探す
・ステップ3:開業資金を準備する
・ステップ4:備品を準備する

以下で、詳しく解説していきます。

2-1ステップ1:事業計画を立てる

ピラティススタジオを開業するには、まず事業計画を立てることが重要です。
運営方針が明確になるため、スムーズな準備が進められます。

事業計画書には以下の内容を盛り込みましょう。

創業の動機 ピラティススタジオを開業したい理由や目標
経営者の略歴 自身の資格や経歴、運営に活かせる強み
取扱商品・サービス ターゲット層、レッスンメニュー、料金設定など
取引先や取引関係 必要な仕入れ先や協力先など
資金計画 設備資金や運転資金の必要額と調達方法
事業の見通し 予想される収益や、将来的な成長プラン

日本政策金融公庫のホームページでは事業計画書のフォーマットをダウンロードできるため、活用することで効率的に作成できます。

事業計画書は、ピラティススタジオの運営方針を整理するだけでなく、開業資金調達にも役立ちます。計画を明確にし、開業準備をよりスムーズに進めましょう。

2-2ステップ2:テナントを借りる場合は物件を探す

ピラティススタジオの開業で、テナントを借りる場合、適切な物件探しが重要です。
物件の選定が集客や運営コストに直結するためです。

たとえば、駅から近い立地は利便性が高く、通いやすい環境を提供できます。また、スペースが広すぎるとコストが増え、狭すぎるとレッスンの効率が下がるため、適切な広さと設備を備えた物件が求められます。

物件を選ぶ際は、以下の項目を重視するといいでしょう。

好立地を選ぶ 駅から徒歩5分以内や、周辺に商業施設がある場所は集客に有利
設備の確認 ・マシンピラティスを導入する場合、天井の高さや床の強度を考慮する必要がある
・シャワーや更衣室の有無もクライアントの満足度に影響する
コスト管理 ・賃料や保証金が予算に見合っているか
・設備投資に見合う収益が期待できるか

物件選びは、スタジオ運営の基盤を築く重要なステップです。立地や設備、コストを総合的に判断して慎重に選びましょう。

2-3ステップ3:開業資金を準備する

ピラティススタジオを開業するには、十分な資金準備が重要です。
スタジオの開業には、物件取得や設備の購入などの初期費用(イニシャルコスト)と、家賃や水道光熱費などの運営費用(ランニングコスト)の両方が発生します。

日本政策金融公庫が実施した「2024年度新規開業実態調査」によれば、新規開業者の資金調達額の主な内訳は以下のとおりです。

調達先 金額
自己資金 約293万
配偶者・親・兄弟・親戚 約54万
友人・知人など 約36万
金融機関からの借入 約780万
その他 約34万
平均調達額 約1,197万円

(出典:日本政策金融公庫総合研究所「2024年度新規開業実態調査」

金融機関からの借入が65.2%で、日本政策金融公庫や民間金融機関、地方自治体の制度融資が中心で、開業資金の約3分の2を占めています。
開業資金の調達には金融機関からの融資が中心ですが、自己資金も重要です。
開業を計画する際は、事業計画書を準備し、資金調達先ごとの役割を明確にしておくといいでしょう。

2-4ステップ4:備品を準備する

ピラティススタジオを開業するには、レッスンの内容や規模に応じた備品を準備しましょう。
レッスン内容によって必要な器具が異なるため、スタジオの特長や提供するプログラムに適した備品を選ぶのが重要です。

例えば、以下のような備品が必要です。
・大きな鏡
・ヨガマット
・マットピラティス用の器具
・マシンピラティス用の器具
・パソコン
・エアコンやストーブ
・カーテン
・タオルやシーツ
・事務用品
ピラティススタジオの開業は、提供するレッスン内容や生徒のニーズに合わせた備品を計画的に準備しましょう。初期費用を抑えたい場合はマットピラティスを中心に、収益性を高めたい場合はマシンピラティスの導入を検討すると良いでしょう。

ピラティススタジオの開業にかかる費用

ピラティススタジオの開業に必要な費用について、具体的に見ていきましょう。
以下は、ピラティススタジオを開業する際に必要となる主な費用の項目です。

・初期費用(イニシャルコスト)

項目 内容 費用目安
物件取得費 賃貸契約に伴う保証金や敷金、礼金など 100~300万円
内装工事費 鏡の設置や床材の変更、設備の設置費用 200~500万円
備品購入費 ヨガマット、マシンピラティス用器具
(リフォーマー、キャディラックなど)
300~700万円
広告宣伝費 ウェブサイト作成費用、SNS広告費、
チラシの作成など
50~100万円
その他 保険料や開業許可取得費用、消耗品の購入費など 20~50万円

・運営費用(ランニングコスト)

項目 内容 費用目安
家賃 スタジオの賃料 10~30万円
水道光熱費 電気、ガス、水道代 200~500万円
人件費 スタッフの給与や講師料(必要な場合) 20~50万円
広告費 継続的な集客のための広告やマーケティング費用 5~10万円
その他 消耗品、メンテナンス費用、保険料など 5~10万円

・費用の目安合計
初期費用: 600万円~1,500万円
月間運営費用: 50万円~100万円
ピラティススタジオの開業には、事業計画を基にした費用計画が不可欠です。
初期費用を抑えながらも必要な設備を整え、ランニングコストを管理し、安定した運営を行いましょう。

ピラティススタジオへの集客方法

ピラティススタジオを開業しても、集客できなければ意味がありません。
ここでは、ピラティススタジオに集客するためのポイントを4つ紹介します。

・ウェブサイト(HP)を作成する
・SNSを活用する
・チラシを配る
・予約システムを導入する

以下で詳しくみていきましょう。

4-1ウェブサイト(HP)を作成する

ピラティススタジオの集客を成功させるには、ウェブサイト(HP)の作成が重要です。
ウェブサイトはスタジオの顔となるので、新規顧客獲得や既存顧客の維持に大きく貢献するためです。

ウェブサイトは、スタジオの情報を提供するだけでなく、顧客との重要な接点を作ります。また、スタジオの特色やレッスン内容を明確に伝え、予約システムを導入すると、利便性が向上するので、利用者の満足度を高められるでしょう。

ウェブサイトを作成する際は、以下の3つのポイントを意識して作りましょう。
・明確なコンテンツ
・魅力的なデザイン
・予約システム
例えば、トップページに「初回体験レッスンキャンペーン」や「お客様の声」を掲載することで、初めて訪問した人に親しみやすさを感じてもらえます。

効果的なウェブサイトの運営は、スタジオの成功を支える大きな要素となるでしょう。

4-2SNSを活用する

SNSはピラティススタジオの認知度を高め、幅広い層にアプローチできるツールです。
リアルタイムで情報を発信できるので、新規顧客の獲得と既存顧客との関係の強化につながります。

SNSを活用すると、複数のプラットフォームを通じてさまざまなターゲット層に効果的にアプローチできます。たとえば、Instagramでは若年層にリーチしやすく、Facebookでは30代以上のユーザーに訴求できる特徴があります。
また、SNSはリアルタイムで情報を発信できるため、新しいレッスンやキャンペーン情報をすぐに共有し、顧客の関心を引きつけられるでしょう。

SNSは無料で始められる集客ツールとして、SNS運営は開業時に必ず実施しておきたい施策の一つと言えるでしょう。

4-3チラシを配る

地域密着型の集客戦略は、ピラティススタジオの成長を支える重要な要素です。
近隣住民をターゲットにしたアプローチを取り入れると、スタジオの認知度を高め、多くの人々に来店してもらうきっかけを作れるためです。

例えば、チラシ配布は、スタジオ付近や駅前で直接地域住民にアピールするための効果的な方法です。スタジオの存在を知ってもらうきっかけになるでしょう。また、ポスティングを活用して近隣の住宅にチラシを投函すると、より広範囲にスタジオの情報を周知できます。新規オープン時には新規入会キャンペーンを実施し、特典を設けるのも実際に足を運んでもらうきっかけとなるでしょう。

4-4予約システムを導入する

予約システムを導入すると、レッスンの予約受付を効率化できるので、集客の強化にもつながります。インターネットを活用した予約システムは、手動で行っていた受付作業を自動化できるため、時間と労力の削減が可能です。

ホームページやSNSと連携すると、閲覧者をそのまま予約に誘導できる仕組みを作成可能です。

効果
予約受付の効率化 24時間好きなタイミングで予約できるため、対応の手間を減らし、運営効率が向上する
ホームページとの連携 ホームページに予約ボタンを設置すると、閲覧者がスムーズに予約を完了できる
SNSとの活用 InstagramやFacebookでの告知投稿から直接予約ページに誘導すると、集客効果を高められる

予約システムの導入は、運営を効率化するだけでなく、集客を強化する効果的な方法です。インターネットを活用し、閲覧者をスムーズに予約へとつなげる仕組みを作ると、顧客満足度とリピート率の向上を期待できます。

ピラティススタジオの開業を成功させるための3つのポイント

ここでは、ピラティススタジオを開業させるためのポイントを紹介します。

・明確なターゲット設定
・リピートしやすい価格設定
・継続的な自己成長

以下で詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

5-1明確なターゲット設定

ピラティススタジオの開業を成功させるには、明確なターゲット設定をしましょう。
ターゲットを明確にすると、立地選びや集客活動の方向性をはっきりさせられるためです。

たとえば、若年層をターゲットにする場合と高齢者をターゲットにする場合では、スタジオの場所や提供するレッスン内容が異なります。

内容
立地選び 子育て世代をターゲットにする場合は、住宅街や駅近くの物件を選ぶ
集客活動 ターゲットが多く集まる場所(商業施設や公園など)でチラシを配布し、効率的にアプローチする
レッスン内容の調整 高齢者をターゲットにする場合は、リハビリや健康維持を目的としたマットピラティスを実施する

明確なターゲット設定は、スタジオ運営の方向性を定める重要なステップです。
ターゲットのニーズに合った立地や集客方法の計画が、効率的に利用者を増やせるでしょう。

5-2リピートしやすい価格設定

ピラティススタジオを安定に経営するためには、新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客のリピート率を向上させる仕組みづくりが重要です。
リピーターの増加により、収益の安定と新規顧客獲得の相乗効果が期待できるためです。

価格設定やサービスの質を向上させると、顧客満足度を高め、リピートを促進させられるでしょう。

内容
価格設定 ・目標売上から逆算した価格の設定と競合の平均価格も参考にし適正価格を決定
・価格が低すぎると収益に影響し、高すぎるとリピーターを確保しにくくなるため、バランスが重要
顧客フォロー ・リマインドメールやDMを活用し、レッスンの継続を促す
・個別にメッセージを送り顧客との関係性を強化
リピーター向けの特典 ・リピーター向けの割引や特典を設け、再訪を促進

リピーターを増やせると、ピラティススタジオの収益基盤を安定させられます。また、価格設定や顧客フォロー、特典の導入などを組み合わせて、顧客満足度の向上とリピート率の向上を目指しましょう。

5-3継続的な自己成長

ピラティススタジオの開業を成功させるには、継続的な自己成長を意識し、知識と技術を磨き続ける必要があります。
価格に見合った、もしくはそれ以上のサービスを提供できれば顧客満足度が向上し、リピーターの獲得につながるためです。また、業界トレンドを取り入れると、スタジオの信頼性と魅力を高められるでしょう。

たとえば、業界トレンドを把握するために本を読んだりインターネットを活用したりして、最新情報のキャッチアップが効果的です。また、専門的なスキルを高めるために講習会やセミナーに参加し、技術向上に努めるのもおすすめです。加えて、顧客対応力を強化することで、接客の質を高め、顧客からの信頼をさらに得ることができるでしょう。

スキルや知識を磨き続け、信頼を獲得し、スタジオの成長を促進しましょう。

ピラティススタジオを開業に関するよくある質問

ピラティススタジオを開業するにあたって、よくある質問に2つ回答します。

・ピラティススタジオの開業でいくらくらい稼げますか?
・ピラティススタジオを開業するには開業届は必要ですか?

6-1ピラティススタジオの開業でいくらくらい稼げますか?

ピラティススタジオの開業でいくら稼げるかは、運営形態や集客力、レッスンの内容などによって大きく異なります。
例えば、一般的な収入は以下の通りです。
月収目安:50~150万円
グループレッスン:1人あたり2,000~3,000円 × 平均10人 × 月40クラス = 80万円
個人レッスン:1回8,000円 × 月20回 = 16万円
96万円 × 12か月 = 1,152万円

収益を安定させるには、価格設定、顧客満足度向上、リピーター獲得が重要です。また、地域のニーズに応じたサービス展開やオンラインレッスンの活用も収益アップに役立つでしょう。

6-2ピラティススタジオを開業するには開業届は必要ですか?

ピラティススタジオを開業する場合、「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」の提出が必要です。開業届を税務署に提出すると、正式に個人事業主としての活動を開始できます。また、事業運営の透明性が高まるので、税務上のメリットを享受できます。

たとえば、開業届に屋号を記載すれば、その屋号で銀行口座を開設ができ、事業専用の口座として活用できます。また、開業届の提出で節税効果のある青色申告を利用できます。青色申告は、控除額が増え、赤字を繰り越せるため、事業運営を始めたばかりの段階で特に役立つでしょう。

ピラティススタジオをスムーズに運営し、信頼を得るためにも、開業準備が整った段階で速やかに開業届を提出しましょう。

ピラティススタジオの開業には、しっかり準備をして成功させよう


ここまでは、ピラティススタジオを開業するまでのステップや必要な準備を詳しく解説してきました。

ピラティススタジオを成功させるには、適切な準備と計画が欠かせません。
開業スタイルはさまざまで、自宅で始める方法から、テナントを借りて本格的に運営する方法など幅広い選択肢があります。自分のライフスタイルや目指す方向性に合った開業方法を選びましょう。
また、集客や顧客満足度を高めるための工夫も重要です。たとえば、ウェブサイトやSNSを活用したプロモーションや、リピート率を上げるための特典やサービスの導入など、時代に合った施策を取り入れましょう。

ピラティススタジオの開業は簡単ではありませんが、準備をしっかりと整え、目標に向かって一歩ずつ進むと、理想的なスタジオ運営を実現できるでしょう。夢のスタジオ開業に向けて、ぜひチャレンジしてみてください。

日本インストラクター技術協会編集部
インストラクターの専門性を高めるためや地位向上を目的とした団体である日本インストラクター技術協会(JIA)編集部が運営するコラムです。
美容・健康・ボディケアの資格の筋トレインストラクター、シェイプアップインストラクターや骨格診断士。心理カウンセラー資格のメンタル心理インストラクター、子供心理カウンセラー®、音楽療法カウンセラーや行動主義心理アドバイザー®など様々な資格を認定しています。
日本インストラクター技術協会編集部