ピラティスのラテラル呼吸法は、胸式呼吸と腹式呼吸を組み合わせた特別な呼吸法です。
体幹を活用しながら効率的に酸素を取り込むのが特徴です。
一般的にピラティスの呼吸は胸式呼吸とされていますが、実際には「ラテラル胸式呼吸」と呼ばれ、肋骨の広がりと横隔膜の動きを意識的に活用します。
この呼吸法により、体幹を強化しながら全身に酸素を巡らせることが可能です。鼻から吸い、口から吐く呼吸を基本とし、身体の内側の動きに集中すると、運動効果を高められます。
ラテラル呼吸法の際は、以下の動きを意識しましょう。
肋骨や横隔膜の動きを意識し、体幹全体を使って呼吸しましょう。この動きにより、呼吸が浅くならず、体幹を意識した深い呼吸が可能になります。
ラテラル呼吸法は、ピラティスの動作と連動させると、体幹の強化やリラックス効果を高めます。
ピラティスの呼吸法であるラテラル呼吸法の4ステップをご紹介します。
・ステップ1:顎を軽く引き、背中を伸ばして両手を肋骨に置く
・ステップ2:肋骨を外側に広げるように息を吸う
・ステップ3:骨盤底筋と腹横筋を働かせて息を吐く
・ステップ4:正しい姿勢を保ちながら呼吸する
各ステップにコツがあるので、ぜひよく読んで参考にしてみてください。
顎を軽く引き、背筋を伸ばして両手を肋骨にそっと添えると、呼吸に合わせた肋骨の動きを感じやすくなります。
以下を意識しながら手順でやってみてください。
正しい呼吸を身につけるには、手を肋骨に添えて呼吸の動きを確認するのがおすすめです。肋骨の動きを意識すると、呼吸がスムーズになり、より効果的にエクササイズを行えるようになるでしょう。
ピラティスでは、肋骨を前後左右に360度広げるイメージで息を吸い、姿勢と呼吸のバランスを意識しましょう。
以下を意識しながらやってみてください。
肋骨を全方向に広げる意識を持ち、胸を張らずに自然な姿勢を保つと、呼吸が深まり姿勢も安定します。正しい呼吸法と姿勢で、ピラティスをより効果的に行いましょう。
息を吐くときは、口から細く長く息を吐き、お腹の底からため息をつくように息をしっかり吐き切りましょう。
お腹のインナーマッスルである腹横筋や骨盤底筋を活用し、深い呼吸を行うと、体幹を意識的に使えるようになります。
以下を意識しながらやってみてください。
息を吐く際に「ハー」と声を出したり、のどに力を入れすぎたりしないように注意が必要です。
胸をなでおろすような落ち着いた意識で、無理なく吐き出すことを心がけましょう。
ピラティスでは、正しい姿勢を保ちながら呼吸をすると、体幹を鍛える効果を最大限に引き出せます。
姿勢が崩れると、呼吸に必要なインナーマッスルが使いづらくなり、体幹への効果が半減してしまいます。
正しい姿勢を保つためには、以下を意識しましょう。
座ったり立ったりした姿勢で意識しづらいときは、仰向けになって骨盤と肋骨のズレを整えましょう。また、仰向け姿勢でのけぞりやすい場合は、吸うときに肋骨の裏側を床に沈めるよう意識するといいでしょう。
正しい姿勢での呼吸は、ピラティスの効果を最大限引き出すために重要です。姿勢を意識しにくい場合は仰向け姿勢を取り、肋骨の動きを感じながら深い呼吸を行いましょう。
ここでは、ピラティスの呼吸法で得られる効果を4つご紹介します。
・交感神経が優位になりリフレッシュできる
・血流が良くなり身体機能が向上する
・体幹を鍛えられ姿勢がよくなる
・
ピラティスの呼吸法は、交感神経を優位にし、心身をリフレッシュさせる効果があります。
胸式呼吸により交感神経が優位になると、身体が目覚めて活動的になるので、エクササイズ中のパフォーマンスが向上します。また、ピラティスのエクササイズ後には、身体が軽くなり、爽快感をもたらします。ピラティスは単なる運動だけでなく、リフレッシュの時間としても役立つでしょう。
ピラティス呼吸法は、心身をすっきりと整え、リフレッシュした状態で日常を迎えられるのが大きなメリットと言えるでしょう。
ピラティスの呼吸法は、血流を促進し、身体機能を向上させる効果があります。
胸式呼吸では横隔膜を広げて肋骨のスペースを大きくし、心肺機能を高める効果があります。心臓はポンプ機能を向上させ、肺は多くの酸素を取り込むことが可能になるので、酸素が身体中に行き渡り、新陳代謝が活性化されるのです。
胸式呼吸を取り入れると酸素が全身に供給され、血流促進や代謝アップを実感できるでしょう。
ピラティスの呼吸法を取り入れると、体幹を鍛え、正しい姿勢を維持しやすくなります。
胸式呼吸は、横隔膜やその周辺の筋肉を鍛え、体幹を強化する効果があります。
ピラティスを行うのに適したコンディションが整うだけでなく、正しい姿勢へ導くサポートにもなるためです。
体幹を鍛えられると以下のようなメリットがあります。
・腰痛の予防
・疲れにくくなる
・猫背の改善
・太りにくくなる
・美しいくびれができる
胸式呼吸で体幹を鍛えるのは、姿勢の改善や健康的な生活の基盤づくりにつながるでしょう。
ピラティスのラテラル呼吸法が難しく感じる場合は、まずは筋肉をほぐしてみましょう。
ここでは、おすすめのマッサージを3つご紹介します。
・胸や鎖骨周りの筋肉をほぐす
・背中の筋肉をほぐす
・横隔膜周りの筋肉をほぐす
以下で、一つずつ詳しく解説していきます。
胸や鎖骨周りの筋肉をほぐすと、猫背や筋肉の緊張を和らげ、身体の前面の柔軟性を高められます。
現代人は猫背になりやすく、大胸筋や首の筋肉が緊張して縮んでいる場合が多いためです。
特に胸や鎖骨周りをケアすることで、肩や首の可動域も向上します。
以下の手順で、胸や鎖骨周りの筋肉をほぐしましょう。
胸や鎖骨周りを丁寧にケアすると、肩や首の可動域が向上します。
背中の筋肉をほぐすストレッチを取り入れると、スムーズな呼吸ができる状態を整えます。
筋肉がほぐれると、呼吸がしやすくなるだけでなく、血行も促進され、全身のリフレッシュにつながります。
以下の手順で、背中の筋肉をほぐしましょう。
背中と体側のストレッチで筋肉を伸ばすだけでなく、縮める動きを加えると血行が促進され、肩周りの緊張も和らぎます。
横隔膜周りの筋肉をほぐすと、呼吸を深くし、体幹の動きをスムーズにする効果があります。
横隔膜周りの筋肉が緊張していると、呼吸が浅くなり、体幹の動きに制限がかかるためです。
以下の手順で横隔膜周りの筋肉をほぐしてみましょう。
筋肉をほぐすことで、横隔膜が動きやすくなり、呼吸が深くなって全身のリラックスを促します。また、呼吸がスムーズになり、体幹の動きも改善されるでしょう。
ここでは、ピラティスの呼吸法を練習しやすい基本のポーズを3つご紹介します。
・ニュートラルポジション
・インプリント
・テーブルトップポジション
以下で、詳しく解説します。
ニュートラルポジションは、背骨の自然なカーブを保ちながら身体を安定させる姿勢です。
背骨の自然なカーブを維持することで正しい姿勢を保つための基本です。
この姿勢を意識すると、姿勢改善や腰痛予防に効果があるだけでなく、体幹の筋肉を効果的に活用できるようになります。
ニュートラルポジションの手順は、以下の通りです。
ニュートラルポジションは、ピラティスの基礎だけでなく、日常生活でも役立つ重要な姿勢です。正しい姿勢を意識すると、エクササイズの効果を最大化し、怪我の予防にもつながります。
インプリントポジションは、骨盤を後傾させた安定した姿勢で、ピラティスエクササイズの基礎を支える重要なポジションです。
インプリントポジションでは、腰椎を優しく床に沈めることで体幹を安定させます。
この姿勢は、腰や骨盤周辺に余計な負担をかけず、ピラティスの動作をスムーズかつ安全に行うための土台となります。ただし、お尻や腹直筋に過剰な力を入れると正しい姿勢が崩れるため、リラックスした感覚を意識することがポイントです。
インプリントの手順は、以下の通りです。
お尻の筋肉や腹直筋を硬くして力を入れるのはNGです。
腰椎を床に優しく沈める程度のリラックスした感覚を保ちましょう。
インプリントポジションは、骨盤を後傾させて体幹を安定させる姿勢です。正しいポジションを意識すると、ピラティスのエクササイズを安全かつ効果的に行えます。
テーブルトップポジションは、体幹を安定させるピラティスの基本姿勢であり、コアの活性化や姿勢改善に効果的です。仰向けで膝とすねを90度に保つ姿勢で、コアを起動させ、体幹を安定させるのが目的です。
テーブルトップポジションの手順は、以下の通りです。
姿勢をキープしたまま、10呼吸を目安に行います。
腰に違和感や痛みがある場合は、インプリントの姿勢に切り替えましょう。
腰が反らないよう注意し、膝の角度を変えないように意識し、呼吸を止めずに行うことが重要です。
テーブルトップポジションは、背骨のS字カーブをなくし、適度な負荷をかけると筋力を高める効果があります。また、安全にエクササイズを行う基本姿勢を学ぶことができるため、初心者にもおすすめです。
ここでは、ピラティスの呼吸法に関するよくある質問に2つ回答します。
・ピラティスで胸式呼吸をするのはなぜですか?
・ピラティスの呼吸法で痩せますか?
ピラティスで胸式呼吸をする理由は、体幹を安定させながら効率的に酸素を取り込み、エクササイズの効果を最大化するためです。
胸式呼吸では、横隔膜を動かしながら肋骨を広げ、肺に十分な酸素を送り込みます。
一方で、お腹は軽く引き締めた状態を保つことができるため、体幹を安定させながら動きに集中できます。
ピラティス特有のコントロールされた動きを支える基盤を作り、より効果的なエクササイズが可能になるのです。
腹式呼吸を用いるとお腹が膨らむため体幹が不安定になりがちです。しかし、胸式呼吸ではお腹を引き締めたまま肺を広げられるため、コアを保ちながら正確な動作を行えます。
胸式呼吸をマスターすれば、エクササイズの効率を上げ、体幹を強化する効果が得られるでしょう。
ピラティスの胸式呼吸そのものでは直接的に痩せるわけではありません。
しかし、体幹を強化し代謝を上げるので、ダイエット効果をサポートします。
胸式呼吸は、横隔膜を動かしながら体幹を安定させる呼吸法で、筋肉の活性化やエクササイズの効率向上に繋がります。
たとえば、胸式呼吸を行いながらピラティスのエクササイズをすると、横隔膜や体幹の筋肉が活性化され、効率的にカロリーを消費できます。また、呼吸が深くなるとリラックス効果も得られ、ストレスによる過食を防ぐなどの間接的なダイエット効果も期待できるでしょう。
ピラティスの胸式呼吸は、直接的なダイエット効果というよりも、代謝向上や運動効率アップを通じて痩せやすい体を作る助けとなります。
ここまで、ピラティスの呼吸法の基本ややり方のコツ、初心者でも実践しやすいポーズを解説してきました。
ピラティスの呼吸法は、エクササイズの基礎となるだけでなく、姿勢改善や体幹の強化、リラックス効果など、さまざまなメリットをもたらします。正しい呼吸法を身につけると、エクササイズの効率を上げ、身体全体をバランスよく鍛えられます。
初心者の場合、基本のポーズで呼吸法を練習することから始めてみましょう。
ニュートラルポジションやインプリントなどを通じて、体幹を安定させた状態で深い呼吸を意識しましょう。
また、呼吸法が難しい場合は、筋肉をほぐすマッサージを取り入れると、横隔膜や体幹の動きがスムーズになり、呼吸が楽になるでしょう。定期的に練習を重ねると、ピラティスの呼吸法が自然と身につき、日常生活でもその効果を実感できるようになります。
ピラティスは、身体と心の調和を目指すエクササイズです。正しい呼吸法をマスターし、ピラティスの効果を最大限に引き出して、健康的で充実した日々を送りましょう。