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お菓子の分類方法とは?目的やシチュエーションに合った選び方

記事作成日:2025.09.16
お菓子を選ぶとき、「どれがいいか分からない」「保存期間はどのくらい?」と迷った経験はありませんか。実は、お菓子にはさまざまな分類方法があり、それを理解することで目的に応じた最適な選択ができるようになります。本記事では、お菓子の基本的な分類方法から具体的な選び方まで詳しく解説していきます。
お菓子の分類方法とは?目的やシチュエーションに合った選び方

目次

お菓子の分類方法

お菓子の世界は非常に奥深く、その種類は数万種類にも及ぶと言われています。この豊富な種類のお菓子を理解するためには、体系的な分類方法を知ることが重要です。

1-1分類方法の種類

お菓子の分類方法には、目的に応じていくつかの基準があります。歴史・文化による分類では、和菓子と洋菓子に大きく分けられ、それぞれの文化的背景や特徴を理解できます。水分量・保存性による分類では、生菓子、半生菓子、干菓子の3つに分けられ、保存期間や取り扱い方法が明確になります。
製法・技術による分類では、焼き菓子、蒸し菓子、揚げ菓子などの製造方法の違いを把握できます。原料・材料による分類では、豆菓子、米菓、小麦粉系菓子などの主要な材料による特徴を理解することができます。これらの分類方法を組み合わせることで、お菓子の特性を多角的に理解することが可能になります

1-2お菓子分類を理解するメリット

お菓子の分類方法を理解することで、さまざまなメリットを得ることができます。まず、目的に応じた適切な選択ができるようになります。例えば、手土産として持参する場合は日持ちする焼き菓子を、当日中に楽しむなら生菓子を選ぶといった判断が可能になります。
また、保存方法や賞味期限についても分類によって特徴が異なるため、正しい保存管理ができるようになります。さらに、お菓子作りに興味がある方にとっては、製法や材料の特徴を理解することで技術向上につながります。
和菓子と洋菓子の特徴
お菓子の最も基本的な分類は、歴史と文化に基づく和菓子と洋菓子の区分です。この分類は、単なる味の違いだけでなく、製法や材料、見た目まで大きく異なります。

1-3和菓子の特色

和菓子は、明治以前から続く日本の伝統的なお菓子の総称です。有史以来の日本独自のお菓子から、奈良・平安時代に中国から渡来したもの、安土・桃山時代に南蛮貿易で伝わったものまでを含みます。和菓子の最大の特徴は、季節感と美しい見た目を重視していることです。
春の桜餅、夏の水ようかん、秋の栗きんとん、冬のおしるこなど、四季折々の自然を表現した繊細なデザインが魅力です。また、あんこや米粉、もち米を主要な材料として使用し、砂糖の甘さを抑えた上品で繊細な味わいが特徴的です。茶道文化との深い関わりもあり、お茶の苦味を引き立てる絶妙な甘さに調整されています。

1-4洋菓子の特色

洋菓子は、明治維新以降に西欧文化とともに日本に導入され、普及したお菓子類を指します。西洋の伝統的な製法に基づいて作られ、バターやクリーム、砂糖を多用したリッチで甘い味わいが特徴です。
ケーキ、クッキー、チョコレート、パイなどが代表的で、見た目も華やかで装飾的なものが多くあります。洋菓子は特別な日やお祝い事、パーティーなどで重宝され、誕生日ケーキやクリスマスケーキなど、イベントと密接に結びついています。また、個包装されているものが多く、手土産やギフトとしても人気があります。

1-5世界各国の特色ある洋菓子

洋菓子の発祥地であるヨーロッパ各国には、それぞれ独特の特色があります。フランス菓子は、繊細な技術と美しい見た目で知られ、マカロンやエクレアなどの精巧なお菓子が有名です。ドイツ菓子は、バウムクーヘンに代表されるような素朴で重厚な味わいが特徴で、卵とバターの風味を重視しています。
イタリア菓子は、蜂蜜やチーズ、ナッツ類を多用したティラミスやパンナコッタなどが代表的です。アメリカ菓子は、カップケーキやドーナツに見られるように、大胆で甘く、ボリューム感のあるお菓子が特徴的です。これらの特色を理解することで、お菓子選びの幅が広がります。

水分量で分類する生菓子・半生菓子・干菓子

お菓子の分類で最も実用的なのが、水分量による分類です。この分類方法は、保存期間や取り扱い方法を判断する際に非常に重要な指標となります。

2-1生菓子(水分30%以上)の特徴

生菓子は、水分を30%以上含むお菓子の総称で、当日中に食べる必要がある菓子類です。代表的なものには、ショートケーキ、プリン、きんつば、団子、煉り切り、大福、どら焼きなどがあります。水分が多いため、微生物が繁殖しやすく、冷蔵保存が基本となります。
生菓子の魅力は、フレッシュな味わいと口どけの良さにあります。特に洋菓子では、生クリームやフルーツの瑞々しさを楽しむことができ、和菓子では餡の滑らかな食感と上品な甘さを堪能できます。ただし、保存期間が短いため、購入後は速やかに消費することが重要です。

2-2半生菓子(水分10-30%)の特徴

半生菓子は、水分が10~30%の範囲にあるお菓子で、数日から1週間程度の保存が可能です。代表的なものには、羊羹、カステラ、バターケーキ、甘納豆、最中などがあります。生菓子ほど水分は多くありませんが、完全に乾燥させているわけではないため、常温保存が可能でありながら、しっとりとした食感を保っています。半生菓子は、保存性と食感のバランスが良く、手土産やギフトに適しているお菓子です。また、個包装されているものが多く、分けて食べることができるのも特徴です。

2-3干菓子(水分10%以下)の特徴と種類

干菓子は、水分が10%以下の乾燥したお菓子で、長期保存が可能な菓子類です。和菓子では、せんべい、落雁、金平糖、和三盆が代表的で、洋菓子では、クッキー、クラッカー、ガム、ウエハース、キャンディなどが含まれます。水分が少ないため、常温保存で数ヶ月から1年程度保存できるものが多く、非常食としても活用されています。干菓子の特徴は、サクサクした食感と保存性の高さにあります。また、湿気を避けて保存することで、長期間美味しく食べることができます。

製法による分類と各技法の特徴

お菓子の製法による分類は、作り方の違いによる食感や味わいの特徴を理解するのに役立ちます。同じ材料でも製法が違えば、全く異なるお菓子になります。

3-1焼き菓子の種類と製法

焼き菓子は、オーブンで生地を焼いて作るお菓子の総称です。代表的なものには、クッキー、マフィン、パウンドケーキ、タルト、スポンジケーキなどがあります。また、鯛焼きやどら焼きのように専用の焼き型や鉄板で焼くものも含まれます。
焼き菓子の最大の魅力は、香ばしさと保存性の良さにあります。焼く過程で水分が蒸発するため、比較的長期間保存でき、手土産やギフトに適しています。さまざまなフレーバーやトッピングが楽しめ、コーヒーや紅茶との相性も抜群です。家庭でも比較的作りやすく、お菓子作り初心者にもおすすめの分類です。

3-2蒸し菓子の種類と製法

蒸し菓子は、蒸気で加熱して作るお菓子で、主に和菓子に多く見られる製法です。代表的なものには、饅頭、ういろう、蒸しパン、かるかん、蒸しケーキなどがあります。蒸し菓子の特徴は、しっとりとした食感と優しい味わいにあります。
油を使わないため、ヘルシーで消化にも良く、お年寄りや子供にも人気があります。また、蒸すことで材料本来の風味が引き立ち、素材の味を大切にした和菓子の理念に合致した製法と言えます。家庭でも蒸し器さえあれば比較的簡単に作ることができます。

3-3揚げ菓子の種類と製法

揚げ菓子は、油で揚げて作るお菓子で、独特の食感と風味が楽しめます。代表的なものには、かりんとう、ドーナツ、揚げまんじゅう、揚げ豆、芋けんぴなどがあります。揚げ菓子の魅力は、サクサクした食感と香ばしさにあります。
油で揚げることにより、表面はカリッと、中はふんわりとした食感のコントラストを楽しむことができます。ただし、高カロリーになりがちなので、食べ過ぎには注意が必要です。一方で、その満足感の高さから、少量でも充実感を得ることができます。

3-4冷菓・アイス系菓子の種類

冷菓・アイス系菓子は、冷凍・冷蔵で楽しむお菓子で、特に夏季に人気があります。代表的なものには、アイスクリーム、ジェラート、シャーベット、アイスキャンディー、かき氷などがあります。これらのお菓子は、冷たさと爽やかな味わいが特徴で、暑い日には格別の美味しさを提供してくれます。
乳脂肪分の違いにより、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスに分類され、それぞれ異なる食感と味わいを楽しむことができます。温度管理が重要で、適切な冷凍保存により品質を維持することができます。

使用原料による分類方法

お菓子を主要な使用原料によって分類することで、それぞれの特徴や栄養価、味わいの違いを理解することができます。

4-1豆菓子の種類

豆菓子は、大豆や小豆、そら豆、えんどう豆などの豆類を主原料とするお菓子の総称です。代表的なものには、甘納豆、おのろけ豆、五色豆、炒り豆、豆大福などがあります。豆菓子の特徴は、たんぱく質が豊富で栄養価が高いことです。甘納豆は砂糖で煮込んで作られ、上品な甘さと豆本来の風味が楽しめます。
おのろけ豆は炒った落花生に砂糖や抹茶、ゴマなどをまぶしたもので、香ばしさと甘さのバランスが絶妙です。五色豆は、青えんどうを使用し、色とりどりの砂糖衣で包んだ美しい見た目も魅力の一つです。

4-2米菓の種類

米菓は、米を主原料とするお菓子で、日本人に最も馴染み深い菓子の一つです。代表的なものには、せんべい、あられ、おかきなどがあります。もち米を原料とするものとうるち米を原料とするもので食感が大きく異なります。もち米を使ったあられやおかきは、口どけが良くソフトな食感が特徴です。
うるち米を使ったせんべいは、パリパリとした硬い食感が楽しめます。味付けも醤油、塩、海苔、ゴマなど多様で、地域によってさまざまな特色があります。保存性も高く、お茶うけとしても人気があります。

4-3小麦粉系菓子の種類

小麦粉を主原料とするお菓子は、洋菓子の基本となる分類です。代表的なものには、クッキー、ケーキ、パンケーキ、ビスケット、パイなどがあります。小麦粉に含まれるグルテンの働きによって食感が決まるのが特徴です。薄力粉を使用すると軽くサクサクした食感に、強力粉を使用すると弾力のあるもちもちした食感になります。バターや砂糖、卵などと組み合わせることで、無限のバリエーションを生み出すことができ、世界中で愛されている菓子分類です。

4-4チョコレート系菓子の分類

チョコレート系菓子は、カカオを主原料とする菓子で、世界中で最も人気のある菓子の一つです。代表的なものには、トリュフ、板チョコ、チョコケーキ、チョコクッキーなどがあります。ミルク、ダーク、ホワイトの種類があり、それぞれ異なる風味と甘さを楽しむことができます。
ダークチョコレートはカカオの風味が強く、大人向けの味わいです。ミルクチョコレートは牛乳が加えられ、まろやかで子供にも人気があります。ホワイトチョコレートはカカオバターのみを使用し、甘くクリーミーな味わいが特徴です。温度管理が重要で、高温になると風味が損なわれるため注意が必要です。

用途・シーン別のお菓子の選び方

お菓子選びで重要なのは、用途やシーンに応じた適切な選択をすることです。TPOを考慮した選び方を身につけることで、より満足度の高いお菓子選びができるようになります。

5-1贈り物・手土産に適したお菓子

贈り物や手土産として選ぶお菓子には、いくつかの重要なポイントがあります。まず、日持ちする焼き菓子がおすすめです。クッキー、バウムクーヘン、フィナンシェなどは、常温で数日から数週間保存でき、相手の都合に合わせて食べてもらうことができます。また、個包装されている商品を選ぶことで、分けて食べることができ、衛生的でもあります。
相手の好みや年齢層を考慮することも大切で、高齢の方には甘さ控えめの和菓子、小さなお子様がいる家庭には親しみやすい洋菓子が喜ばれる傾向があります。季節感のある和菓子も、日本の美意識を感じられる素敵な贈り物となります。

5-2日常のおやつ・家庭用お菓子

日常的に楽しむおやつや家庭用のお菓子選びでは、コストパフォーマンスを重視することが大切です。大容量パックやファミリーサイズの商品を選ぶことで、1個あたりの単価を抑えることができます。また、家族の好みに合わせて複数の種類を用意し、飽きのこない工夫をすることも重要です。
保存しやすいものを選び、湿気対策や適切な保存方法を実践することで、最後まで美味しく食べることができます。さらに、栄養バランスも考慮し、カルシウムが豊富なものや食物繊維を含むものなど、体に良い要素があるお菓子を選ぶことも大切です。

5-3パーティー・イベント用お菓子

パーティーやイベントで提供するお菓子は、見た目の華やかさを重視することが重要です。カラフルなデコレーションが施されたケーキや、美しく盛り付けられたプチケーキなどは、場を盛り上げる効果があります。また、取り分けしやすいサイズのものや、手を汚さずに食べられるフィンガーフードタイプのお菓子を選ぶと、ゲストに喜ばれます。参加者の人数に応じた適切な量を用意し、余っても困らないよう個包装のものを選ぶのも良いでしょう。アレルギー対応についても事前に確認し、できるだけ多くの方に楽しんでもらえるよう配慮することが大切です。

5-4季節・行事に合わせたお菓子選び

日本には四季を通じてさまざまな行事があり、それぞれに適したお菓子があります。春の代表的なお菓子には、桜餅、いちご大福、桜のケーキなどがあり、桜の香りや淡いピンク色で春らしさを演出します。夏には、水ようかん、わらび餅、かき氷などの冷たいお菓子が人気で、暑さを和らげてくれます。
秋は、月見だんご、栗きんとん、秋の果物を使ったタルトなどが季節感を表現し、収穫の喜びを感じさせてくれます。冬には、クリスマスケーキ、おしるこ、年末年始の和菓子などが、温かい気持ちと特別感を演出します。これらの季節感を大切にすることで、より豊かなお菓子体験を得ることができます。

お菓子作りに活かす分類知識

お菓子の分類を理解することで、お菓子作りにも大いに役立てることができます。分類ごとの特徴を活かした製法や材料選びを身につけましょう。

6-1分類別の基本的な作り方

お菓子作りを成功させるためには、分類ごとの基本的な作り方を理解することが重要です。焼き菓子では、材料の正確な計量と適切な温度管理が成功の鍵となります。特に、オーブンの予熱をしっかり行い、レシピ通りの温度と時間を守ることが大切です。蒸し菓子では、蒸し時間と火力の調整が重要で、強火で一気に蒸し上げることで、ふっくらとした食感を得ることができます。
冷菓では、冷却と固化のタイミングが重要で、適切な温度管理により滑らかな食感を実現できます。発酵菓子では、酵母の働きと発酵時間の管理が成功の要因となり、室温や湿度にも注意を払う必要があります。
お菓子作りを始める際の道具と材料は以下の通りです。
基本的な道具
ボウル(大・中・小のセット)
泡立て器(手動・電動)
ゴムベラ
計量カップ・スプーン
デジタルスケール
オーブン
型(丸型・パウンド型など)
クッキングシート
基本的な材料
薄力粉・強力粉
砂糖(上白糖・グラニュー糖)
バター(無塩)

牛乳
ベーキングパウダー
バニラエッセンス
これらの道具と材料を揃えることで、ほとんどの基本的なお菓子作りに対応できます。最初は高価なものを揃える必要はなく、徐々に買い足していくことをおすすめします。

6-2初心者におすすめの菓子分類

お菓子作り初心者には、焼き菓子から始めることをおすすめします。特に、クッキーやマフィンは失敗しにくく、基本的な技術を身につけるのに適しています。これらのお菓子は、材料を混ぜて焼くだけというシンプルな工程で、特別な技術を必要としません。また、失敗しても食べられることが多く、経験を積むのに最適です。
基本道具だけで作れるレシピを選び、複雑な工程や特殊な材料を使わないものから挑戦しましょう。成功体験を積み重ねることで自信がつき、徐々に難易度の高いお菓子に挑戦できるようになります。

6-3材料選びのポイント

お菓子作りにおいて、菓子の分類に応じた適切な材料選択は非常に重要です。焼き菓子には薄力粉、蒸し菓子には片栗粉や上新粉など、菓子の種類によって最適な粉を選ぶことが大切です。また、品質と価格のバランスを考慮し、初心者のうちは高級な材料を使わず、基本的なものから始めることをおすすめします。
季節や保存期間も考慮に入れ、夏場は傷みやすい材料を避ける、長期保存したい場合は保存性の高い材料を選ぶなどの工夫が必要です。最近では、アレルギー対応材料も豊富に販売されているため、必要に応じて米粉や豆乳などの代替材料を活用することも可能です。

まとめ

お菓子の分類方法を理解することで、目的に応じた最適な選択ができるようになります。お菓子を選ぶときに「どれがいいか分からない」という悩みも解決し、より充実したスイーツライフを送ることができるでしょう。
お菓子の分類知識を身につけることで、さまざまな楽しみ方が広がります。目的に応じた適切な選択ができるようになり、手土産には日持ちする焼き菓子、特別な日には華やかな生菓子といった使い分けが自然にできるようになります。
季節感を大切にした選び方により、日本の美しい四季をお菓子を通じて感じることができ、より豊かな食体験を得ることができます。さらに、お菓子の文化的背景への理解が深まることで、ただ美味しいだけでなく、歴史や伝統を味わうことができるようになります。

日本インストラクター技術協会編集部
インストラクターの専門性を高めるためや地位向上を目的とした団体である日本インストラクター技術協会(JIA)編集部が運営するコラムです。
美容・健康・ボディケアの資格の筋トレインストラクター、シェイプアップインストラクターや骨格診断士。心理カウンセラー資格のメンタル心理インストラクター、子供心理カウンセラー®、音楽療法カウンセラーや行動主義心理アドバイザー®など様々な資格を認定しています。
日本インストラクター技術協会編集部