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無塩バターと有塩バターの違い!使い方や代用まで解説

記事作成日:2025.09.16
お菓子作りや料理でバターを使う際、「無塩バターと有塩バターはどう違うの?」「代用できるの?」と迷ったことはありませんか。本記事では無塩バターと有塩バターの違いから代用方法まで解説していきます。バターの使い方をマスターしたい方は、ぜひ最後までご一読ください。
無塩バターと有塩バターの違い!使い方や代用まで解説

目次

無塩バターと有塩バターの違い

バターには大きく分けて無塩バターと有塩バターがあり、それぞれ異なる特徴と用途があります。

1-1無塩バターとは?

無塩バターは、製造過程で食塩を一切添加していないバターのことです。正式名称は「食塩不使用バター」と呼ばれています。バターの原料である生乳には微量の塩分が含まれているため、完全に塩分がゼロというわけではありませんが、ほぼゼロに近い量となっています。
無塩バターの最大の特徴は、生乳本来の純粋な風味を味わえることです。塩味がないため、素材そのものの甘みや乳製品特有のクリーミーな味わいを楽しむことができます。価格は200gあたり400円から500円程度で、有塩バターよりも高価になっています。これは保存性が低く、需要が安定しないことが理由です。

1-2有塩バターとは?

有塩バターは、製造工程で約1〜2%の食塩を添加したバターです。多くの家庭で使われている一般的なバターがこのタイプになります。塩分を加える主な理由は、バターの保存性を高めることと、塩味による風味の向上です。
有塩バターの賞味期限は未開封で6ヶ月程度と、無塩バターの5ヶ月よりも長く設定されています。価格は200gあたり300円から400円程度で、無塩バターよりも手頃な価格で購入できることが大きなメリットです。トーストに塗ったり、料理の調味料として使ったりする場面で重宝されています。

1-3栄養成分とカロリーの比較

無塩バターと有塩バターの栄養成分には、いくつかの違いがあります。100gあたりのカロリーを比較すると、無塩バターが720kcal、有塩バターが700kcalとなっており、わずかに無塩バターの方が高カロリーです。
最も大きな違いはナトリウム含有量で、無塩バターが11mgに対し、有塩バターは750mgと大幅に異なります。塩分量で表すと、無塩バターは0.00g以下、有塩バターは約1.91gとなっています。この塩分量の違いが、料理やお菓子作りでの使い分けの重要なポイントになります。

お菓子作りで無塩バターが選ばれる理由

お菓子作りにおいて無塩バターが推奨される理由は、主に3つの要因があります。

2-1塩分量をコントロールできるメリット

お菓子作りで無塩バターが重要視される理由の一つは、塩分量を自由に調整できることです。多くのお菓子レシピでは、甘味とのバランスを取るために微量の塩を加えますが、この量を正確にコントロールする必要があります。
有塩バターを使用すると、バター自体に含まれる塩分によって予想以上に塩辛くなってしまう可能性があります。特にバタークリームや生クリームを多用するケーキでは、大量のバターを使用するため、塩分の影響が顕著に現れます。無塩バターなら、レシピ通りの塩分量を正確に加えることができ、理想的な味のバランスを実現できます。

2-2グルテン形成への影響を避ける効果

有塩バターに含まれる塩分は、小麦粉のグルテン形成に影響を与えます。塩分にはグルテンを強化する作用があるため、有塩バターを使用すると生地がより弾力性を持ち、もっちりとした食感になってしまいます。
多くのお菓子では、軽やかでふんわりとした食感が求められるため、この塩分によるグルテン強化は好ましくありません。クッキーやケーキなどの焼き菓子では、無塩バターを使用することで理想的な食感を実現できます。生地の仕上がりが大きく変わるため、お菓子作りでは無塩バターが推奨されているのです。

2-3素材本来の風味を活かす特性

無塩バターは、生乳由来の純粋な味わいを楽しむことができます。塩味が加わっていないため、バター本来のクリーミーな風味や自然な甘みが際立ちます。この特性は、特に繊細な味わいが求められるお菓子作りにおいて重要です。
マドレーヌやフィナンシェなどのシンプルな焼き菓子では、バターの風味が仕上がりを大きく左右します。無塩バターを使用することで、素材本来の美味しさを最大限に引き出すことができ、より上質なお菓子を作ることが可能になります。他の材料との相性も良く、全体的な味のバランスが取りやすいのも大きな利点です。

【料理別】無塩バター・有塩バターの使い分け

料理の種類によって、無塩バターと有塩バターの使い分けが重要になります。

3-1お菓子作りでの使い分けポイント

お菓子作りにおける無塩バターと有塩バターの使い分けは、作るお菓子の種類によって異なります。クッキーやスコーンなどの焼き菓子では、多少の塩味があっても美味しく食べられるため、有塩バターでも代用可能です。
しかし、バタークリームを使用するケーキや、甘さが重要なスポンジケーキなどでは、無塩バターの使用が強く推奨されます。有塩バターを使用すると塩分が強すぎて、甘いお菓子本来の味わいを損なってしまう可能性があります。焼き菓子でも、バターの使用量が多いレシピほど、無塩バターを選ぶことが重要です。

3-2パン作りでの選択基準

パン作りにおいては、一般的に無塩バターが使用されることが多いですが、有塩バターでも代用可能です。食パンやロールパンなどの基本的なパンでは、レシピで指定された塩の量を調整することで、有塩バターを使用できます。
パン作りで有塩バターを使用する場合は、バターに含まれる塩分量を計算して、他の塩分を減らす必要があります。バター100gあたり約1.91gの塩分が含まれているため、この分を考慮した調整が必要です。発酵にはほとんど影響がないため、味の調整さえ適切に行えば問題なく美味しいパンを作ることができます。

3-3料理での活用方法

料理においては、バターの種類による使い分けが味に大きな影響を与えます。ソテーや炒め物では、有塩バターが風味付けと調味料の役割を同時に果たすため便利です。肉や魚の料理では、有塩バターの塩分がちょうど良い味付けになります。
一方、ソース作りでは無塩バターが推奨されます。特にホワイトソースやバターソースなど、バターが主役となる料理では、塩分量を自分でコントロールできる無塩バターの方が理想的な味に仕上がります。トーストに塗る場合は、好みによって選択すれば良く、濃厚な風味を求めるなら無塩バター、手軽さを求めるなら有塩バターが適しています。

無塩バター・有塩バターの代用方法

バターの代用は可能ですが、適切な方法と注意点を理解することが重要です。

4-1有塩バターを無塩バターで代用

有塩バターがない場合、無塩バターに塩を加えることで代用できます。具体的な方法は、使用する無塩バターの重量を基準に塩分量を計算することです。有塩バター100gには約1.91gの塩分が含まれているため、無塩バター100gに対して小さじ1/3(約2g)の食塩を加えます。
この方法は料理において特に有効で、炒め物やソテーなどでは問題なく代用できます。塩を加えるタイミングは、バターと一緒に加えるか、調理の最後に味を調整する際に追加すると良いでしょう。ただし、パンに塗るなどの直接的な使用では、塩の粒が残る可能性があるため注意が必要です。

4-2無塩バターを有塩バターで代用

無塩バターを有塩バターで代用する場合は、特にお菓子作りにおいて慎重になる必要があります。有塩バターに含まれる塩分が、お菓子の味のバランスを大きく変えてしまう可能性があるためです。
クッキーやマフィンなど、比較的塩分に寛容なお菓子では代用可能ですが、バタークリームやムースなどの繊細な味わいが求められるものでは避けるべきです。代用する場合は、レシピに記載された他の塩分を減らすか、全体の味付けを調整することが重要です。また、有塩バターの塩分によって生地の食感も変わる可能性があることを理解しておきましょう。

4-3代用時の分量調整のコツ

バターを代用する際の分量調整では、まず使用するバターの塩分含有量を正確に把握することが重要です。レシピごとに求められる塩分量は異なるため、作る料理やお菓子の特性を理解した上で調整を行います。
失敗を避けるためには、少量作って味見をすることをおすすめします。特に初めて代用する場合は、塩分を控えめにして、後から調整する方法が安全です。また、代用する際は完成品の保存期間も変わる可能性があるため、早めに消費することも重要なポイントです。

発酵バターという選択肢

無塩・有塩バターに加えて、発酵バターという特別なバターも存在します。

5-1発酵バターの特徴

発酵バターは、原料のクリームに乳酸菌を添加して発酵させてから作るバターです。製造方法には2つのタイプがあり、クリームの段階で乳酸菌を加えて発酵させる方法と、完成したバターに直接乳酸菌を練り込んで発酵させる方法があります。
この発酵過程により、ヨーグルトのような爽やかな酸味と独特の芳醇な風味が生まれます。ヨーロッパでは古くから発酵バターが主流で、特にフランスやベルギーなどで広く愛用されています。日本でも近年、その豊かな風味が注目されており、高級食材として人気を集めています。

5-2発酵バターと無塩・有塩バターの使い分け

発酵バターは、通常のバターよりも風味が強いため、使い分けが重要になります。発酵バター特有の深いコクと酸味は、シンプルな料理やお菓子でその真価を発揮します。マドレーヌやサブレなどの焼き菓子では、発酵バターならではの豊かな香りを楽しめます。
ただし、他の強い風味を持つ材料と組み合わせる場合は、発酵バターの特徴が活かされない可能性があります。発酵バターを無塩・有塩バターで代用する場合は、風味の違いを理解した上で使用することが大切です。代用する際は、発酵バター独特の風味が失われることを念頭に置いておきましょう。

5-3発酵バターの価格と入手方法

発酵バターは一般的なバターよりも高価で、100gあたり400円から500円程度で販売されています。この価格の高さは、特別な製造工程と限られた生産量が理由です。
入手方法としては、大型スーパーマーケットの高級食材コーナーや、デパートの食品売り場、専門の輸入食材店などで購入できます。オンラインショッピングでも様々なメーカーの発酵バターを購入することが可能で、フランス産やデンマーク産など、産地による風味の違いを楽しむこともできます。購入時は賞味期限が短めなので、使用予定を考慮して購入することをおすすめします。

無塩バターの代用品

無塩バターがない場合でも、いくつかの代用品を使って料理やお菓子作りを続けることができます。

6-1ケーキ用マーガリン(無塩マーガリン)

ケーキ用マーガリンは、お菓子作り専用に開発された食塩不使用のマーガリンです。無塩バターの代用品として最も使いやすく、クッキーやパウンドケーキなどの様々な料理に活用できます。生地に練り込みやすいよう、柔らかなテクスチャーに調整されているのが特徴です。
無塩バターと比較すると、あっさりとした味わいになりますが、コストパフォーマンスが良く、手軽に使用できます。ただし、バター特有の風味やコクは劣るため、バターの風味を重視するお菓子には向きません。製菓専用のマーガリンなので、無塩バターと同じような分量で代用することができ、初心者にも扱いやすい代用品です。

6-2植物性油(オリーブオイル・サラダ油)

オリーブオイルやサラダ油も、無塩バターの代用品として使用できます。クッキーやパウンドケーキ作りでは、固形バターの1/3から1/2程度の分量で代用可能です。ただし、調整が難しいため、オリーブオイル使用専用のレシピを参考にすることをおすすめします。
植物性油を使用すると、バターよりもあっさりとした軽い仕上がりになります。特にサラダ油は味に影響が出にくく、扱いやすいのがメリットです。オリーブオイルの場合は、エクストラバージンオイルよりもライトタイプの方がお菓子作りには適しています。油脂の含有量がバターと異なるため、専用レシピでの分量確認が重要です。

6-3ココナッツオイルでの代用

ココナッツオイルは、常温で固形になる特性を持つため、バターの代用品として注目されています。25℃以下で固形になり、それ以上の温度では液体になるという特性があります。この温度による状態変化を理解して使用することが重要です。
ココナッツオイル特有の甘い香りがあるため、その風味を活かしたお菓子作りに適しています。バターと同じ分量で代用でき、固形の状態で使用すればクリーミング(泡立て)も可能です。ただし、ココナッツの風味が苦手な場合や、風味を抑えたい料理には向きません。使用前に温度を確認し、適切な状態で使用することが成功のポイントです。

バターの正しい保存方法

バターの品質を保つためには、適切な保存方法を実践することが重要です。

7-1冷蔵保存の基本ルール

バターの基本的な保存方法は冷蔵保存で、温度は10℃以下を維持することが必須です。未開封の場合は5〜6ヶ月程度の賞味期限がありますが、開封後は2〜3週間以内に使い切ることが推奨されています。
保存の際は、空気・光・においからバターを保護することが重要です。バターは臭いを吸収しやすい特性があるため、購入時の銀紙やラップで包み、さらに密閉容器に入れて保存するのが理想的です。冷蔵庫の開け閉めによる温度変化を避けるため、奥の方に保存することも大切なポイントです。使用の際は清潔なナイフやバターナイフを使用し、雑菌の混入を防ぎましょう。

7-2冷凍保存で長期保存

バターは冷凍保存することで、半年程度の長期保存が可能になります。冷凍保存を行う場合は、小分けにしてから冷凍することがポイントです。例えば、200gのバターなら10gずつ20個に分けて、それぞれをラップで包みます。
小分けにすることで必要な分だけを解凍でき、残りのバターの品質を保つことができます。冷凍したバターは冷蔵庫で自然解凍して使用し、急激な温度変化は避けましょう。ただし、一度解凍したバターは再冷凍できないため、解凍後は早めに使い切ることが重要です。冷凍保存はおいしさの面では劣るため、頻繁に使用する場合は冷蔵保存がおすすめです。

7-3バターの劣化サインと対処法

バターが劣化すると、いくつかのサインが現れます。最も分かりやすいのは臭いの変化で、すっぱい臭いや古い油のような臭いがした場合は劣化している可能性があります。また、色が黄色く変色したり、表面に水分が浮いてきたりすることもあります。
カビが発生した場合は、表面だけでなく内部にも菌糸が広がっている可能性があるため、全て廃棄することが安全です。カビの色は緑色や黒色、白色など様々で、少しでも異常を感じたら食べずに処分しましょう。劣化を防ぐためには、清潔な道具を使用し、適切な温度で保存することが最も重要です。

マーガリンとバターの比較

バターの代用品として最も一般的なマーガリンとの違いを理解することも重要です。

8-1原料と製造方法の根本的な違い

バターとマーガリンは、原料と製造方法が根本的に異なります。バターは牛乳から分離したクリームを撹拌して作られ、乳脂肪分80%以上、水分17%以下と法律で定められています。一方、マーガリンは主に植物性油脂(コーン油、大豆油、パーム油など)を原料とし、水や乳化剤などを加えて作られます。
製造工程も異なり、バターは「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」、マーガリンは「日本農林規格(JAS規格)」によって規定されています。この製造方法の違いが、両者の風味や食感の違いを生み出しています。マーガリンには添加物の使用が許可されており、塩や砂糖、ビタミン、香料などを加えることができるため、様々な種類の商品が存在します。

8-2風味と食感の違い

バターとマーガリンの最も大きな違いは風味です。バターは牛乳由来の豊かな風味とクリーミーな味わいが特徴で、濃厚でコクのある味を楽しめます。加熱しても風味が損なわれにくいため、焼き菓子や炒め物などの加熱調理に適しています。
一方、マーガリンはあっさりとした軽い味わいが特徴で、バターほどの濃厚さはありません。ただし、この軽やかさが好まれる場合もあり、重すぎない仕上がりを求める料理には適しています。食感では、マーガリンの方が冷蔵庫から出してすぐに使えるほど柔らかく、パンに塗りやすいという利点があります。

8-3価格と入手のしやすさ

価格面では、マーガリンの方がバターよりも安価で購入できます。バターが100gあたり220円前後なのに対し、マーガリンは100gあたり100円前後と、約半分の価格で購入可能です。この価格差は、原料の安定供給と製造コストの違いによるものです。
マーガリンはバターよりも価格が安定しており、季節による価格変動も少ないのが特徴です。また、どこのスーパーマーケットでも手軽に購入でき、種類も豊富に揃っています。バターの場合、特に無塩バターや発酵バターは取り扱い店舗が限られることがありますが、マーガリンは入手しやすく、日常使いに適した食材といえます。

まとめ

無塩バターと有塩バターの違いから代用方法まで詳しく解説してきました。お菓子作りでは塩分量のコントロールができる無塩バターが適しており、料理では風味付けができる有塩バターが便利です。代用する際は塩分量の計算と味の調整が重要で、マーガリンや植物性油での代用も可能です。適切な保存方法を実践し、用途に応じて最適なバターを選択することで、より美味しい料理やお菓子作りを楽しんでください。

日本インストラクター技術協会編集部
インストラクターの専門性を高めるためや地位向上を目的とした団体である日本インストラクター技術協会(JIA)編集部が運営するコラムです。
美容・健康・ボディケアの資格の筋トレインストラクター、シェイプアップインストラクターや骨格診断士。心理カウンセラー資格のメンタル心理インストラクター、子供心理カウンセラー®、音楽療法カウンセラーや行動主義心理アドバイザー®など様々な資格を認定しています。
日本インストラクター技術協会編集部