焼酎と日本酒は、日本の伝統的なアルコール飲料です。
その製造方法や味わいなどは大きな違いが見受けられます。
それぞれが備えている特徴を知るだけで、自分の好みやマッチした飲み方を発見できるはずです。
まずは、文化的背景・原材料などの基本的な違いについて解説します。
焼酎と日本酒での明らかな違いは、生産される場所のルーツが顕著です。
焼酎の場合は、おもに九州地方を中心に生産が盛んです。
なかでも鹿児島・宮崎が特産地として有名で、各地域ごとに特色が強く現れます。
ただし現在では、九州に限らずあらゆる地方でも生産されているのも特徴です。
一方で、日本酒の場合はとくに制限がなく、全国各地で作られています。
それでも新潟県、広島県、秋田県などが著名な産地で、稲作が主流で川の水がきれいな場所が、日本酒の作りにマッチするようです。
日本酒も焼酎と同様に、味わいなどが地域により色濃く表れます。
焼酎と日本酒とでは、原材料の違いが明らかです。
焼酎と日本酒はどちらも日本を代表するアルコール飲料として周知されていますが、その原材料には大きな違いがあります。
この違いによって、それぞれに独自の風味や特性を生み出すのです。
まず焼酎の原材料は、多様な原材料から作られることが特徴となるでしょう。
使った原材料によって風味・テイストもさまざまに変化します。
代表的な焼酎の原材料は、以下のものが一般的です。
● 米
● 麦
● 芋
● 黒糖
● そば
米焼酎の場合は、おもに「酒米」と呼ばれる日本酒製造でも用いられる品種です。
味は柔らかくまろやかで、日本酒とも風味が類似している種類もあります。
米焼酎の品質では、米の精米歩合が大きく影響し、歩合が高い(米を多く削る)ほど、雑味が少なくすっきりした風味です。
麦焼酎は、軽やかで爽やかな風味と、癖の少なさが魅力といえるでしょう。
また、精麦(大麦)・裸麦(小麦)など、麦の酒類にも違いがあります。
麦焼酎の風味を決定づける要素が「麦麹」です。
麦に麹菌を付着させて発酵させますが、より独特な香りと風味にしてくれます。
芋焼酎は、サツマイモを原材料とし、鹿児島県を中心に盛んに生産される焼酎です。
甘くコクのある風味が特徴で、強い香りを放ちます。
また、使用されるサツマイモの種類によっても味や風合いが変わるのも特徴です。
黄金千貫(こがねせんがん)の場合、一般的に使われる品種とされ、バランスの良さが味に出ます。
紅芋焼酎なら、フルーティーな香りが楽しめるでしょう。
黒糖焼酎は、奄美大島を中心に生産される焼酎です。
黒糖の原料であるサトウキビには、ミネラル分が豊富にあるので甘くてまろやかな風味が出ます。
そば焼酎は、そばを主原料とし香ばしさと軽やかな飲み口が魅力です。
日本酒の原材料の場合、焼酎のような多様性はなく、米だけから作られます。
正確には、使用されるのが米・水・麹・酵母の4つです。
日本酒造りのためには、それに適した酒造好適米(酒米)が使用されます。
例えば山田錦・五百万石・美山錦などが代表的な酒米です。
一般の食用米と比較すると大粒で、「心白(しんぱく)」という白い部分が大きいとされています。
酒米の特性は、澱粉質が豊富で発酵時に雑味が少なく、クリアな味わいになる点です。
日本酒の繊細で上品な風味を生み出すのは、まさに酒米の品種の選び方によります。
そして、日本酒の品質を左右する重要な要素が水です。
仕込み水・洗米の際の水の質によって、風味に大きな影響を与えます。
硬水と軟水による違いでも影響を与え、硬水はミネラル分が豊富でしっかりとした味わいにしますが、軟水はまろやかで繊細な味わいの日本酒になるようです。
麹は、「黄麹菌」を使用するのが一般的です。
糖化することにより酵母がアルコールを生成します。
適温適度と湿度によって質の高い日本酒となり、味や風合いも変わるのも特徴です。
焼酎・日本酒共にアルコール飲料であることに変わりはありません。
楽しめるうちは良いのですが、度を過ぎてしまうと避けられないのが二日酔いです。
実は、焼酎と日本酒とでは、二日酔いになるか否かの違いが生じるとされています。
日本酒で二日酔いを引き起こす場合、糖質が多く含まれたお酒であることが原因です。
過剰摂取をした場合には、血糖値が急激に変動します。
これが日本酒での二日酔いの一因となってしまうのです。
また、発酵過程の段階で生成した副産物により二日酔いを引き起こすこともあるようです。
焼酎で二日酔いを引き起こす場合も考えられます。
一般論として、蒸留酒である焼酎には糖質が少なく、二日酔いしにくいとされています。
ところが、これも度を越してしまうと話は別です。
日本酒以上のアルコール度数の高さにより、当然ながら二日酔いのリスクは高まります。 もし。空腹のまま飲んでしまうとアルコール吸収が速くなり、二日酔いになりやすいでしょう。
焼酎も日本酒も、適度な量を守ってゆっくりと楽しむことが重要です。
そのためには、各お酒の特徴・魅力・飲み方や合わせる料理などを理解し、自分に合ったスタイルで堪能してください。
焼酎と日本酒の違いとして、製造方法もあげられるでしょう。
どちらもアルコール度を上げる工夫をしますが、その手法は全く異質です。
焼酎の場合は蒸留酒として製造しますが、それに対して日本酒の場合は、醸造酒として生産されています。
焼酎は発酵させ蒸留して製造し、日本酒はアルコール発酵させたものを搾って製造するという違いが見受けられるのです。
では、さらに詳しく解説していきましょう。
焼酎を製造するためには蒸留をします。
蒸留酒の製造過程では、発酵後に「蒸留」という工程を加える必要があるという点です。
蒸留とは、加熱した蒸気を冷却し液体を抽出することを指します。
蒸留により不純物が取り除かれ、アルコール純度が増すメリットが生まれるのも特徴です。
また、焼酎の場合には乙類・甲類の2種類があり、乙類は単式蒸留機でシンプルに、甲類の場合は連続式蒸留機で何度も蒸留を繰り返します。
蒸留酒の酒類に当てはまるのは焼酎に限らず、ウイスキー・ブランデーなどのアルコールです。
日本酒の製造方法の場合は、醸造という工程を組みます。
酵母の力により、糖分をアルコール発酵させたお酒です。
醸造酒にも種類があり、単発酵酒・単行複発酵酒・並行複発酵酒に区分されます。
単発酵酒では、原料に糖分が含まれ酵母のみでアルコール発酵させますが、ワインなどが該当するでしょう。
単行複発酵酒では、原料の穀物に含まれるデンプンを糖に変えてから発酵させます。
大麦を原料にしたビールなどは単行複発酵酒です。
並行複発酵酒では、デンプンを糖化させつつアルコール化を同時に発生させます。
米のデンプン質の糖化と酵母のアルコール化を、1つのタンク内でおこなう日本酒は、並行複発酵酒です。
焼酎と日本酒とでは、アルコール度にも違いが生じます。
焼酎は蒸留酒である理由からアルコール度数が高めで、日本酒よりも度数が高い傾向です。
日本酒は醸造酒であり、酒税法によってアルコール度数の上限が定められています。
では、さらに詳しく解説していきましょう。
焼酎のアルコール度数の平均は、一般的に25%とされています。
ただし品種によっての差がかなりあるため、中には35%以上の焼酎も市販中です。
また、原材料を何にするのかでもアルコール度数は変化し、麦焼酎・芋焼酎などは、どれも強いアルコールとして生産されています。
日本酒の平均的なアルコール度数は、一般的に15%〜16%の範囲です。
日本酒の場合、製造過程にてアルコール度数を調整することが可能なので、銘柄や品種によっては、あえて幅を利かせながら製造します。
純米酒や吟醸酒などの種類により、少しアルコール度数が微妙に変わることが特徴です。
また、日本酒は酒税法に則って製造され、アルコール度数にも制限やルールがあります。
もし製品ラベルに「日本酒(清酒)」と明記されていれば、それらは22度未満の調整がされていることでしょう。
酒税法により、国内で販売できる日本酒の度数は、22度未満と定められています。
仮に日本酒の製法のお酒で22度以上の場合、それらは雑酒・リキュールに分類されます。
焼酎と日本酒はいずれも日本の伝統的なお酒です。
製法や味わいが異なりますが、多くの人々に親しまれ続けてきました。
焼酎は蒸留酒でアルコール度数が高く、日本酒は醸造酒で米の甘みや旨味が楽しめます。
そのため、どちらにも美味しい飲み方が確立されてきました。
代表的なものとしては、焼酎ならロックや水割り・お湯割りなど多様な方法があり、日本酒では、常温・冷やし熱燗といった温度を変化させて楽しむ方法です。
焼酎の場合は、麦・芋・米・黒糖・そばなどを発酵させて製造される蒸留酒です。
発酵した原料を蒸留し、アルコール度数を高くします。
その味わいは、一般的に強いアルコール感が残りつつも、原料の風味を堪能できる魅力があるでしょう。
とくに芋焼酎は、芋の甘みや土っぽい風味などが独特なので、好きな人と嫌いない人とに分かれることがあります。
麦焼酎も同様で、そば特有の香ばしさを感じることでしょう。
そのため、焼酎の味わいは、かなり個人差が出やすいといえます。
比較的米焼酎は癖が少ないため、初心者向きです。
焼酎の飲み方には、多様な方法が考えられます。
一般的な水割り・ロック・湯割り・お茶や炭酸割りなどで、これらは自分の好みによって変えて楽しめるのが魅力です。
日本酒は、米と水をメインに使用して製造する発酵酒です。
酒米を蒸した後、酵母により発酵させ搾ったものがお酒になります。
そのため蒸留はせず、発酵でアルコールを作り出すのが特徴です。
アルコール度数は焼酎よりも低くなります。
日本酒の味わいは、オールラウンドで各銘柄・製品によりけりです。
一般的には、甘口・辛口に大別できますが、米の旨味や酸味によってなので、フルーティーさを演出したものもあれば、濃厚なコクのあるものといったバリエーションがたくさん存在します。
日本酒の飲み方は、冷酒・常温・熱燗というように温度によって味わいの変化をつけることがポピュラーです。
冷酒にするとフルーティーさが際立って感じられ、熱燗にすれば、均衡でまろやかな味わいに変わります。
焼酎と日本酒を飲み比べるとしたら、いくつかのポイントを押さえておくとよいでしょう。
各ポイントとしては、以下のとおりです。
● アルコール度数
● 香り
● 食事との相性
アルコール度数の詳細は先述した通りで、焼酎は通常25~45度の範囲、日本酒は12〜16度程度です。
アルコール感の強さが異なってくると、好みにも違いが生じます。
本格的な味わいを堪能するのであれば、度数の高い濃厚なものが好まれますが、ライトな感覚で飲みたいようであれば、度数の低いもののほうが最適です。
香りについても焼酎・日本酒とでは特徴の差が生じます。
焼酎は原料によりけりとなり、芋や麦などは原料そのものの素朴な香りを楽しむことができるでしょう。
食事との相性としては、焼酎の場合、焼き物や揚げ物との相性が良いとされ、日本酒は刺身・寿司・煮物などの和食全般との相性が良いようです。
ただし、これも一般論であり、個人差は必ず生じます。
焼酎と日本酒とでは、糖質とカロリーの違いも見受けられます。
大まかに、双方の糖質とカロリーの比率は以下のような数値です。
● 焼酎 (100ml)に対し、カロリーは約140〜160kcal、糖質はほぼ0g
● 日本酒 (100ml)に対し、カロリーは約110〜120kcal、糖質は5〜8g程度
一般的に焼酎の場合は、蒸留酒という理由から糖質ゼロに近い状態となり、日本酒の場合は、醸造酒であることにより糖質の含有率が高いのが特徴です。
カロリーについては、焼酎がアルコール度数高めな傾向があるので、日本酒よりもやや高めといえるでしょう。
焼酎の製造では、蒸留過程の段階で糖質が取り除かれます。
そのため、ほとんど糖質は含まれていません。
その一方、日本酒は米が主原料であることと、蒸留して飛ばす加工方法を取らないため、糖質をそのまま多く含みます。
もし、糖質制限などで健康上での心配がある場合は、焼酎を選ぶほうが適しているかもしれません。
焼酎のほうが日本酒よりもアルコール度数が高い傾向のため、カロリーは焼酎のほうが高くなるでしょう。
そのため、少量飲んで満足できてしまう場合も考えられます。
あるいは、焼酎の場合は水割り・炭酸割り・ロックなどで薄めて飲むケースも多いことで、結果的には、標準的なカロリーの摂取量を調整できることもメリットとなります。
日本酒の場合は、温度の変化によってアルコールを飛ばして低くすることが可能です。
一般的に、冷酒はアルコール度数が高く、熱燗にするとアルコールが飛んで低くなります。
焼酎や日本酒は、製造方法から原材料など違いが明らかですが、各々の魅力を知って極めることにより、ますます世界観が広がって趣味や好み以上の嗜み方ができます。
ここでは、焼酎や日本酒に関連するおもなおすすめ民間資格を紹介しましょう。
焼酎コンシェルジュ資格認定とは、焼酎の特徴や製法についての深い知識や、選定方法、飲み方、グラスの選び方、焼酎に合う料理の選び方という側面からも理解ができ、さらにアドバイスできるレベルにまで達する資格です。
日常の料理と焼酎のマッチや選び方、原材料による飲み方の提案、焼酎文化をさらに楽しくするおもてなしや雰囲気作り、オリジナル酎ハイなどの知識も得られるでしょう。
資格取得後には、飲食関係・お酒を提供する場、あるいは日常の工夫、カルチャースクールでの講師活動などの展開も可能です。
酒粕・糀マイスター資格認定は、酒粕・糀の基本知識と製造方法、健康効果、調理方法などの専門的な知識と技能を証明します。
酒粕・糀を使用する料理方法、健康管理に向けたアドバイスなどができるレベルの知識が身につくでしょう。
資格取得することで、酒粕や糀の専門家としての技能などを証明できるので、飲食店・健康施設などでの活躍が期待できます。
また、酒粕や糀に関するセミナーや料理教室講師としても活動ができるでしょう。
焼酎や日本酒は、製造過程や原材料などによって、味わいや香りの変化が出やすいものです。
味わいや香りなどは、その品種によって違いが生じ、個人的な好みによっても選別の仕方が変わっていきます。
一般的には、アルコール度数が高い焼酎は、少量を適宜嗜むように飲む人が多いようですが、オールマイティな飲み方が可能なので、水割り・炭酸割り・ロックなどでポピュラーに飲んでいる人も増えてきました。
日本酒は米を主原料にしたシンプルな製造なので、焼酎ほど飲み方のバリエーションはありませんが、和食とのマッチが絶妙なため、料理を楽しむお酒として人気が高まっています。
まずは、自分の好みを見出すために、各種焼酎や日本酒の銘柄を試してみることをおすすめしたいものです。
どちらも、日本の風土と文化が育んできた長い歴史を積み重ねて成立しています。
その伝統を保持しながら酒造りする蔵元もたくさんありつつ、新しいアプローチをしようと新種改良をしている業者も多いようです。
あとは、実際に自分で飲み比べながら、焼酎・日本酒の感覚を身に着けて好みを見出してみるとよいでしょう。
ぜひ、焼酎・日本酒の深い世界観に触れて楽しんでみてください。