焼酎コンシェルジュ資格

焼酎と泡盛の違いとは?定義と歴史と違いのポイント!

記事作成日:2025.09.16
日本を象徴するお酒として、焼酎と泡盛は代表的な二大蒸留酒です。
それぞれに独自の歴史・製法があり、現在でも根強い人気を誇ります。
また、風味や飲み方にも大きな違いがあることも特徴です。
焼酎の原産地は、おもに九州地方が中心とされ、米、麦、芋などの多くの原材料を使用して作られます。
一方で、泡盛は沖縄県特有の蒸留酒です。
インディカ米に黒麹菌による発酵で、独特な味わいと製法になっています。
双方とも類似点も目立ちますが、全く別々のお酒としても分類されているのです。
では、焼酎と泡盛にはそれぞれどのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの違いについての知識や理解ができれば、より一層お酒が楽しめるでしょう。
本記事は、焼酎と泡盛の違いを中心に、双方の定義や歴史などに触れていく内容です。
焼酎と泡盛について興味がある人は、ぜひ参考にしてみてください。
焼酎と泡盛の違いとは?定義と歴史と違いのポイント!

目次

焼酎の定義

焼酎は日本の伝統的なお酒として知られています。
その歴史や製造方法については、独特な流れが育まれてきました。
ここでは、焼酎とはなにかという基本的な定義について解説します。

1-1焼酎はで国内製造される蒸留酒の一種

焼酎は、日本国内で製造される蒸留酒の一つとして数えられます。
日本以外の国々でも蒸留酒は生産されていますが、それらは焼酎の部類としてカテゴライズされません。
焼酎の原材料は、麦・米・芋などで、アルコール度数としては、25度前後の設定のものが目立っています。
さらに度数の強いものになれば、40度以上の品種も存在するようです。
日本国内で広く親しまれ続けていて、地域によってテイストなどが独自の特徴となって生かされてきました。

1-2焼酎のおもな分類

焼酎の種類としては、大きく2つのタイプに分類されるものと思ってよいでしょう。

● 連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)
● 単式蒸留焼酎(乙類焼酎)

甲類焼酎とは、アルコール度数36%未満の設定のものを指します。
一方で、乙類焼酎はアルコール度数45%に設定されていて、蒸留方法の違いにより味わいの変化が伴うのが特徴です。
甲類焼酎には、ホワイトリカーなど飲み口のまろやかな焼酎が多く、価格帯がリーズナブルになっています。
乙類焼酎は、芋焼酎・黒糖・米焼酎・麦焼酎を代表とする「本格焼酎」とも呼ばれ、原料による香り・味わい・風味などの複雑性が楽しめるのが特徴です。
価格帯も高額なものも含まれ、ピンキリと思えばよいでしょう。

1-3焼酎に使用される原料

焼酎を嗜む際には、どのような原料を使っているのかに着目しましょう。
取り扱われる原料の違いが、風味・テイストを独特なものに仕上げ、好みの違いを生んでくれます。
一般的に、焼酎では以下のような材料です。

● 芋焼酎・・・さつまいも
● 麦焼酎・・・大麦
● 米焼酎・・・米
● 黒糖焼酎・・・黒糖

焼酎は、各銘柄などを区別するために原料・製造方法への法的な規定があります。
各規定に基づき製造するのがルールで、同じ原料を使用しても、色や風味が異なった独特なものへと変化するのが特徴です。

1-4焼酎の製造方法とは

焼酎の場合、「蒸留酒」のカテゴリに入ります。
ウイスキーやブランデー、ウオッカと同じ部類のお酒です。
また、日本酒のような醸造酒と違って、専用の蒸留器にて加熱しながらアルコールだけを抽出し、水を加えながら製造します。
それでも焼酎では、ウイスキー・ブランデー・ウオッカとは一味違った製法です。
まずは、各原料を発酵させてから蒸留し、アルコールを生じさせます。
日本酒の製造工程では、酒精を加えますが、焼酎の場合は、発酵と蒸留のみでアルコールを抽出させるのが基本です。

1-5焼酎の味わいの特徴

焼酎にとって、味わいこそ最大の魅力です。
原料や製造方法の微妙な差で、同じ焼酎なのに違ったテイストに完成させます。
芋焼酎の場合、風味が豊かですが、麦焼酎は軽やかで飲みやすさを追求したものです。
また、熟成させる期間による違いもあり、長期熟成したものは深い味わいになります。
原料によっては独特の臭みが生じますが、好きか嫌いかは個人的な好みとなるでしょう。

1-6焼酎の代表的な飲み方

焼酎の飲み方には特別な方法はなく、一般的なお酒の飲み方をするとよいでしょう。
ストレート・ロック・お湯割り・水割りなどさまざまな楽しみ方があります。
とりわけ人気が高い飲み方は、お湯割りや炭酸・ソフトドリンクで割る酎ハイサワーなどが定着してきました。
また、焼酎の味わいは日本酒同様に、やはり和食との相性がよいとされています。

泡盛の定義

泡盛(あわもり)は、沖縄県を中心に製造される伝統的な蒸留酒です。
黒麹菌を使い米を麹にし、全麹仕込みによる単式蒸留機で蒸留させて製造します。
おもに、以下のような定義と特徴があるといえるでしょう。

2-1泡盛のおもな原料

泡盛では、おもにタイ米・インディカ米などが使用され、発酵させて蒸留した上で完成します。
黒麹菌で造った米麹が原料となり、沖縄の伝統的な蒸溜方法で仕上げ、酒税法上では焼酎のカテゴリに分類される酒類です。
米が原料という点では、日本酒などとも共通していますが、泡盛の場合は蒸留酒として作られるので、日本酒のような醸造酒とは異なったものに変化するのが特徴です。

2-2泡盛の製法

泡盛を製造するときは、発酵後に蒸留をする流れです。
発酵に使用される黒麹菌は、泡盛独特の風味を生み出すことになり、香味成分が多く濃醇な味わいを演出します。
品種や銘柄の香りや味の特徴を表現するのに大切な工程です。

2-3泡盛のアルコール度数

通常の泡盛は、アルコール度数が30度前後とやや高めです。
中には25度程度の商品もありますが、熟成年数が高くなれば、43度というものも多く流通しています。
地域や製品によって異なっているのが特徴です。
また、単式蒸留焼酎は酒税法にて、「アルコール度数が45度以下のもの」と定義されています。
ただし、令和2年(2020年)の租税特別措置法等(間接税等関係)の改正で特例が認められました。
アルコール度数が46度以上でも製法が泡盛の流れを正しく汲んでいれば、「泡盛」の商標表記ができます。

2-4泡盛の熟成について

泡盛の品種の中には、熟成させて完成する銘柄もあります。
古酒(くーす)と呼ばれるものが、熟成泡盛です。
期間としては通常数年ですが、数十年熟成かけてゆっくりと寝かせておくものもあり、その熟成期間によって、味もまろやかに変わっていくとされています。

焼酎と泡盛の歴史

焼酎と泡盛は、いずれも蒸留酒ですが、起源や歴史には違いがあります。泡盛は、15世紀頃に琉球王国(現在の沖縄県)にタイ(シャム)から伝来した蒸留技術を基に、独自の製法で発展したもので、焼酎よりも歴史が古いです。一方、焼酎は、16世紀頃に九州で焼酎造りが始まったと考えられています。焼酎は、泡盛を起源としたものもあれば、中国や朝鮮半島、あるいは東南アジアからの伝来によるものもあるとされています。

3-1醸造での麹の使用

焼酎と泡盛の歴史を比べる場合に、まずは共通項を確認しておく必要があるでしょう。
その一つは、醸造工程で麹(こうじ)を使用する点は見逃せません。
お酒は、でんぷん質の原料から加工されます。
その中で「糖化」と呼ばれるプロセスにて、でんぷんを糖に分解する必要があります。
ビールやウイスキーなどは麦芽を使用しますが、日本酒・焼酎・泡盛などの日本のお酒では、麹菌での糖化が欠かせません。
麹による技術が日本へ伝来した正確な記録は見つかっていませんが、古代中国より稲作が伝わった際に併行してきたという説が濃厚です。

3-2蒸留技術の歴史

焼酎・泡盛のもう一つの共通項は、双方ともに蒸留酒の部類に入るということです。
蒸留技術の歴史は、紀元前3500年頃のメソポタミアとかなり古く、当初は香水の生産の過程で誕生したとされています。
アルコール飲料としての蒸留技術の古い記録は、紀元前800年〜750年、インド・エチオピアだろうという説です。
13世紀〜14世紀には、中国および東南アジア諸国に伝来しました。
日本へ伝わったのは15世紀頃とされ、おもに南部の島々や周辺地域がアジア圏との貿易を通じて伝わったようです。
琉球王国時代の貿易の公文書にも、15世紀に蒸留酒がシャム(タイ)や朝鮮から贈与された記録が残っています。
日本全土へのルートは定かではありませんが、沖縄・中国・朝鮮半島の3つからが有力視されているようです。

3-3焼酎の歴史

日本での焼酎の歴史は古く、15世紀頃には伝来していたとされています。
16世紀に入る頃には、かなり一般的に飲まれていました。
その頃のものは米焼酎が主流でしたが、江戸時代以降になると、芋・麦などの原料からも焼酎の生産ができるようになり、現在に至る基盤が完成していきます。
ポルトガル商人のホルヘ・アルバレスという人物が、1546年に「日本の諸事に関する報告」という文献にて焼酎について記載し、鹿児島県指宿市にて「山川地域で、米から製造したオラクア(蒸留酒)を飲んた」という記録が残っているそうです。
これが、日本に関する最古の焼酎についての記録とされています。
やがて1559年には、鹿児島北部にて神社の工事に携わった大工が、焼酎にまつわるエピソードを苦情として記録したものが発見されました。
そこには「座主がケチで焼酎を振る舞ってくれない」と記録されています。
焼酎は蒸留技術とともに発展しましたが、その過程において「麹(こうじ)」は重要です。
麹は中国から稲作とともに伝来してきた説が濃厚となっています。
麹菌には黄麹・白麹・黒麹の3種類あり、焼酎の製造では白麹と黒麹が使用されるのが一般的です。
もともとは黄麹も焼酎の製造にも使われていましたが、クエン酸を生成しない理由により、九州南部などの温暖地域では夏場にそぐわないことで、徐々に使用されなくなりました。
黒麹と白麹が発見されたことで、焼酎全体の品質が飛躍的に向上したとされています。

3-4泡盛の歴史

泡盛も600年近い歴史を持つ古い蒸留酒の一つです。
日本へ伝わる以前に、琉球王国時代に育まれた伝統的な沖縄のお酒として知られています。
14世紀後半〜15世紀頃にかけて、琉球王朝は中国・東南アジアとの交易が盛んでした。
その渦中より、シャム国(現在のタイ)から蒸留技術が伝わり、沖縄や八重山地方の気候に合う黒麹菌との関係性と、品種改良を重ねたことで定着したとされています。
琉球の先人達の知恵で、発酵材料に黒麹菌を用いたことで、やがて泡盛としての独自性を確立しました。
しかも琉球王国の唯一無二のお酒として珍重されるようになり、外交には欠かせない対象となったのです。
17世紀頃には、琉球王府で認めた家以外で酒造りが禁止されるようになり管理体制が厳重となり、もし違反をすると家財没収・島流しの刑が課せられたとされています。
それほど泡盛は徹底して造られた歴史があることで、今では世界に誇れる日本のお酒として認知されるようになりました。

焼酎と泡盛の文化的背景

焼酎と泡盛は同じ蒸留酒に属し、歴史的背景も中国や東南アジアから伝来したことでも類似しています。
しかし、明らかにテイストや風味も含めて違いも生じてきました。
その理由は、嗜まれてきた文化的背景が違っていたことが理由と考えられます。

4-1焼酎文化について

焼酎はおもに九州地方で広く親しまれてきたお酒です。
その文化は地域ごとに異なっていて風土や歴史が反映されています。
典型例としては、芋焼酎の場合は鹿児島県が有名な特産となり、地元で生産されているさつまいもを原料にした風味が特徴です。
飲み方もストレート・ロック・水割り・お湯割りなどオールラウンドに楽しめます。
また、和食や郷土料理との組み合わせが絶妙で、地元でも友人や家族とのコミュニケーションの場で重要な役割を果たしてきました。
近年になると、独自のクラフト焼酎や新製法も発展し、世代を超えて広がりを見せ始めています。
そのため焼酎は全国区に広がり、すっかり日本文化の一部として浸透したお酒です。

4-2泡盛文化について

泡盛は沖縄で特化された伝統的な蒸留酒でした。
そのため独自の文化を育んでいます。
米を原料に黒麹を使った製法で目立ち、風味が豊かです。
アルコール度数が高い割には、悪酔いしないという特徴もあります。
泡盛の飲み方も焼酎と同じく、ストレート・ロック・水割り・お湯割りなど多彩です。
また、泡盛の場合は、沖縄の地元の祭りや民間宗教の儀式で飲まれることが多く、とても厳格なイメージもあります。
ただし現在では日本のどこでも入手が可能なので、広く認知されるようになりました。
沖縄の文化や生活のことを想い耽るのに、泡盛は最適なアイコンといえるでしょう。

焼酎と泡盛の違い

泡盛は焼酎の部類に属する蒸留酒だという見解もできますが、双方には明らかな違いもあります。
とくに原料と製法です。
泡盛はタイ米と黒麹による蒸留酒で、焼酎は米・麦・芋など多くの原料を使います。
他にもいくつか違いが見受けられるので、ここではさらに解説していきましょう。

5-1産地での違い

最も決定的な違いは、双方の産地に違いが明らかな点です。
焼酎の場合、九州地方(鹿児島や宮崎など)がルーツとされていますが、今では全国各地で作られています。
しかし泡盛の場合は、沖縄県の特産品とされ、沖縄や八重山地方で作られるものです。
かつては沖縄県外でも泡盛は製造され商品化もされた歴史があります。
法的には、沖縄の伝統的な泡盛の製法に則っていれば、現在でも沖縄県外の地域でも製造することは可能です。
ただし、沖縄県内で製造された泡盛は「琉球泡盛」と表示されます。
これは、平成16年に国税庁の「地理的表示に関する表示基準」と「地理的表示に関する表示基準第2項に規定する国税庁長官が指定するぶどう酒、蒸留酒又は清酒の産地を定める件」という2つの基準が公示されたことが理由です。
そのため、実質上、泡盛と言えば沖縄産というのがほぼ当たり前となっています。

5-2蒸留方法での違い

焼酎と泡盛とでは、蒸留方法に違いがあります。
蒸留段階にて、泡盛の場合は「常圧蒸留」を採用し、焼酎では「減圧蒸留」が主流です。
常圧蒸留とは、蒸留の段階で蒸留機内の圧力を大気圧と同じ状態にし保持する蒸留方法を指します。
原料の個性をより引き出す手法として、泡盛のほとんどがこの製法です。
泡盛が常圧蒸留で作られることが多い理由は、古酒の状態になった時を考慮しています。
古酒になる頃に、さらに味わいが深くなるからです。
一方、減圧蒸留とは、文字通り装置内の圧力を下げる蒸留方法で、真空状態にして液体の沸点を下げる低温での蒸留をします。
熱に弱い物質や沸点の近い成分を分離させるのに適した方法です。
減圧蒸留にしたお酒は、口当たりが軽やかでフルーティーな飲みやすさになります。

5-3アルコール度数による違い

焼酎と泡盛では、明らかにアルコール度数に違いが生じます。
焼酎のアルコール度数の場合、通常は20〜25%程度の範囲で商品化されています。
一方で泡盛の場合は、通常30%前後で焼酎よりもやや強めです。
中には40%以上の商品もあります。

焼酎と泡盛のおもな銘柄

ここでは、おもな焼酎と泡盛の銘柄について簡単に触れていきましょう。
中でも焼酎の場合は、原料である芋や麦等によってもかなり細かくなっていきます。
それらから代表的なものをピックアップしました。

6-1焼酎の銘柄

大きく芋焼酎・米焼酎・麦焼酎に大別した場合、以下のような銘柄が有名です。

● 芋焼酎・・・魔王 (魔王酒造)、白岳 (白岳酒造)、伊佐美 (伊佐美酒造)、なかむら (西平酒造)、薩摩茶屋 (田崎酒造)、さつま寿 (田崎酒造)
● 米焼酎・・・白岳 (白岳酒造)、百年の孤独 (黒木本店)
● 麦焼酎・・・中々 (黒木本店)、五郎 (五郎酒造)

それぞれの原料の差により、独特な味わいや風味が生まれます。
比較的芋焼酎は独自な香りを放つので、焼酎愛好家の中で親しまれますが、ほぼクセを感じさせないものとしては米焼酎が標準的です。

6-2泡盛の銘柄

泡盛も銘柄がたくさんあり、育まれた歴史の深さを感じさせます。
おもに以下のような銘柄が有名です。

● 残波 (比嘉酒造)
● 瑞泉 (瑞泉酒造)
● 久米仙 (久米仙酒造)
● 菊之露 (菊之露酒造)
● 尚YONESHIMA (米島酒造)
● 阿麻和利伝説 (神村酒造)
● 守禮 (神村酒造)
● 島うらら (八重泉酒造)
● 花酒 (崎元酒造所)

泡盛はアルコール度数が高いため、お酒に弱い人はすぐに酔ってしまいますが、その後の悪酔いをすることが少ないことで、気持ちよく飲めることで人気があります。

まとめ

焼酎と泡盛は、日本が世界に誇れる蒸留酒です。
類似点が多々あるものの、いくつかの重要な違いも生じています。
焼酎の原料は、麦・米・芋などが使われ、九州地方を中心に製造されていますが、泡盛は沖縄特産品として、黒麹を使った米を原料にしたものです。
それぞれの風味の違いや、多彩な飲み方ができるので、お好みでチョイスして好きな銘柄を決める楽しみもあるでしょう。
ぜひ、焼酎と泡盛の深い世界観を味わってみてください。

日本インストラクター技術協会編集部
インストラクターの専門性を高めるためや地位向上を目的とした団体である日本インストラクター技術協会(JIA)編集部が運営するコラムです。
美容・健康・ボディケアの資格の筋トレインストラクター、シェイプアップインストラクターや骨格診断士。心理カウンセラー資格のメンタル心理インストラクター、子供心理カウンセラー®、音楽療法カウンセラーや行動主義心理アドバイザー®など様々な資格を認定しています。
日本インストラクター技術協会編集部