焼酎には、原料・アルコール度数・蒸留方法の違いなどから、甲類と乙類の区別がされています。
それぞれには基準が決められ酒税法によって制定されているため、常に基準を遵守しながら製造しているのです。
アルコール度数の違いによって、カロリーの違いにも影響があります。
他の種類のお酒は銘柄や生産地での違いが顕著ですが、焼酎の場合は製造工程や材料による違いもあることが、味のバリエーションの秘訣といえるでしょう。
酒税法は、一般的に市販されるお酒に関する法律です。
酒税法はお酒の製造や販売免許、アルコール濃度など、日本国内の基準として制定されました。
国税庁が管轄しています。
酒税法によれば、焼酎とウイスキー・ブランデーは同じ蒸留酒の分類に入り、さらに、蒸留方法・アルコール度数・原料によりけりです。
乙類・甲類と異兎分類も酒税法で定められています。
酒税法の中では、焼酎の蒸留方法による違いも決められています。
大きく「単式蒸留焼酎」「連続式蒸留焼酎」の区分です。
一般的に単式蒸留で完成する「本格焼酎」と称されている商品のことを「乙類焼酎」と呼び、連続式蒸留焼酎は「甲類焼酎」と呼んでいます。
単式蒸留焼酎である乙類焼酎は、製法は昔から伝統的に育まれてきた蒸留酒です。
一方、甲類焼酎は連続式蒸留法で製造され、複数回の蒸留と加水の繰り返しによりアルコールだけを抽出したお酒が出来上がります。
大量生産向けで、リーズナブルなものが多いのも特徴です。
例えば、果実酒作りのための「ホワイトリカー」や、缶入りチューハイなどに使用する原料の焼酎などは甲類焼酎の枠内となります。
乙類焼酎は、古来より受け継がれている単式蒸留での製造をしています。
この場合、別名「本格焼酎」と呼ばれたものです。
原料本来の味わいや香りを放ち、各地方の特産物となる穀物や野菜が原料となり、それぞれに風味や味に特徴がにじみ出ています。
例えば、沖縄・八重山地方などで製造される蒸留酒は「泡盛」とされ、なかには3年以上寝かせておく「古酒(くーす)」などは高級焼酎に該当するものです。
瓶などに詰めて市販されることが多く特別感があり、シンプルに単体で味わいを楽しめます。
乙類焼酎は「本格焼酎」として、昔馴染みの製法で作られた焼酎ですが、甲類焼酎の場合は比較的新しいものです。
連続式蒸留という製造方法で作られています。
果実酒作りに使うホワイトリカーは甲類焼酎の部類に入り、手軽に飲めるペットボトルタイプのものや缶入りの関連商品などで使用する焼酎なども、ほとんどは甲類焼酎です。
製造方法は比較的新しいアイデアにより、よりリーズナブルに大量生産を可能としました。
ただし、味や香りに癖がないため、焼酎本来のテイストを楽しみたい人には、本格焼酎をおすすめします。
どちらかといえばカクテル・酎ハイ・サワーに利用する焼酎といった感覚で飲むことができるでしょう。
焼酎を大きく分類する方法としては、甲・乙類・甲乙混和焼酎の3つがあります。
これらは酒税法によって定義され、蒸留方法・アルコール度数などでも区別されます
おもな特徴は以下のとおりです。
● 甲類焼酎・・・連続式蒸留、アルコール度数36度未満、すっきりした味わい、安価
● 乙類焼酎・・・単式蒸、アルコール度数45度以下、穀物・野菜などが原料、個性的
● 甲乙混和焼酎・・・甲類と乙類焼酎のブレンド
甲類焼酎とは、具体的に「連続式蒸留焼酎」とも呼ばれます。
甲類焼酎の製造過程では、何度も蒸留をかけているからです。
繰り返しておこなうことにより、無味無臭で純度が高くなります。
梅酒を代表する果実酒に利用される「ホワイトリカー」などは、甲類焼酎の一部です。
甲類焼酎の特徴としては、廃糖蜜や酒粕などが主原料となり、アルコール度数36%未満となる点です。
乙類焼酎と比較した場合には、アルコール度数が低くなり、糖質がゼロ%に仕上がります。
味や香りに癖がほとんどないので、すっきりと飲みやすいテイストです。
焼酎の独特な風味が苦手な人や、初心者はこのタイプが最適な選択になるでしょう。
乙類焼酎には、具体的に細かい定義づけがされています。
甲類焼酎とは異質な存在感を放つ焼酎といえるでしょう。
乙類焼酎の製造では、単式蒸留焼酎の方式が採用され、単純構造の蒸留器によって一度だけの蒸留によってアルコール抽出をします。
別名で「本格焼酎」や「ホワイトリカー2」と表現され、この中には沖縄の「泡盛」も含まれるのが特徴です。
乙類焼酎は、米や麦など穀物や野菜などを原料とし、アルコール度数45%以下になります。
ほとんどの商品が伝統的手法に則って製造されている焼酎です。
芋・麦・米・黒糖・そば・栗などなど約50種類近い原料を使っています。
そのため、商品ごとに味に微妙な特徴が出やすく、芳醇な風味、クリアな味、日本酒のようなフルーティさなどが表現されている焼酎です。
甲類焼酎よりも味や香りの癖の強い個性がでます。
価格帯もそれなりに高価になるのも特徴です。
甲乙混和焼酎とは、上述した甲類焼酎と単類焼酎を混合した焼酎です。
そのため、両方の特徴を備えている商品が目立ちます。
甲類焼酎の飲みやすさに加え、乙類焼酎の風味もほのかに感じられるのが魅力です。
味覚は、混ぜ合わせる分量によって違いが生じます。
甲乙混和焼酎の種類としては、甲類と乙類との量の比率によって変化し、甲類が50%以上を占めれば「甲類乙類混和」と呼び、甲類が50%未満であれば「乙類甲類混和」です。
店頭でこの種類の焼酎を見つけた場合には、各基準を理解しておくことで把握することができるでしょう。
どちらが好きか嫌いかは個人差が生じるので、自分に合った焼酎を見出すために色々と試してみることをおすすめします。
焼酎は蒸留酒に該当し、製造方法・風味・用途などで大きく異なります。
甲類焼酎と乙類焼酎に大きく分かれ、その特徴により好みや用途も変わっていくお酒です。
ここでは、製造方法、風味と香り、飲み方と用途の違いについて解説します。
焼酎の甲類と乙類とでは製造方法に違いがあります。
風味や香りへの直接的な影響に関わるのが製造方法による違いといえるでしょう。
まず、乙類焼酎の製造には、単式蒸留器を使用します。
伝統的なやり方で、風味や香りをなるべくそのまま残せるのが特徴です。
また、一次発酵・二次発酵によって醪(もろみ)を出し、さらに酵母を加えながらアルコール度数を高めていきます。
発酵が完了した醪を単式蒸留器で蒸留して完成です。
原料由来の豊かな風味をそのまま残せる方法として、今でも続けられる製造方法です。
一方で、甲類焼酎の製造方法では、連続式蒸留器を使用します。
効率的なやり方で、純度の高いアルコール抽出が可能です。
原料を発酵させて醪を作るまでは単式蒸留と同じですが、 連続式蒸留という名の通り、複数回蒸留します。
この繰り返しによって不純物が取り除かれて、高純度のアルコール抽出が可能です。
完成品の品質は安定しクリアな味わいに仕上がります。
乙類焼酎の風味と香りは、単式蒸留で原料のよさを強く残すため、商品ごとに多様さを楽しめます。
原料の豊かな特性が反映されるのが特徴です。
例えば、芋焼酎はさつまいも由来の甘みと香ばしさを出し、麦焼酎は大麦の香ばしい香りとなります。
発酵と蒸留の過程により演出され、自然な香りをそのまま生かした商品に仕上がることになるでしょう。
一方で、甲類焼酎は連続蒸留によるもので、不純物をほとんど取り除くことでクリーンな風味と香りです。
原料由来の風味が控えめであるため、他の飲み物とのカクテルで楽しむのに適しています。 焼酎特有の香りをほとんど感じないので、お酒が苦手な人でも飲みやすいタイプです。
乙類焼酎の飲み方と用途は、独特な風味と香りを楽しむことがベストです。
方法としては、ストレート・ロックでそのまま飲む愛好家が目立っています。
芋焼酎や麦焼酎は、原料の風味をダイレクトに感じるのに一番良い方法です。
また、お湯割りにしても香りが一層引き立ちます。
冬場の寒い季節は、お湯割りで温めて飲むのも定番です。
他にも、フルーツジュースやソーダとカクテルにしてもよいでしょう。
一方、甲類焼酎の飲み方と用途は、クリーンな味わいを生かした飲み方です。
ストレートやロックでも飲めますが、味がクリーンなので風味などを感じづらいかもしれません。
どちらかといえば、水割り・ソーダ割りなどで爽快感を出し、食事と楽しむお酒です。
カクテルのベースとして優れたタイプと思えばよいでしょう。
自分の好みやシーンを考慮しながら、最適な方法で味わいを楽しんでください。
甲類焼酎・乙類焼酎・甲乙混和焼酎には、異なる特性が伴っているため、マッチする料理も異なってきます。
では、甲類・乙類・甲乙混和焼酎の各種類に合うおもな料理について説明しましょう。
甲類焼酎の場合、無味無臭に近いクリーンな味わいとなります。
そのため、とくに選ぶことなくさまざまな料理との相性も良いとされているのが特徴です。
刺身や寿司などの魚介類はさらに引き立てられ、 天ぷらなどの揚げ物との組み合わせでも美味しくいただけるでしょう。
まら、サラダや冷菜などの料理ともよく合います。
柑橘系の果物を使った料理やデザートも、爽やかな風味を楽しめるはずです。
乙類焼酎の場合は、原料の風味が特徴的なので、和食のようなさっぱり系の食事のほうが相性抜群です。
焼き鳥や炭火焼きなどの肉料理でも、深い味わいと香りが引き立て合えるでしょう。
また、芋焼酎であれば、煮物との相性によって甘味が際立ちます。
刺身や煮魚もおすすめです。
醤油や味噌などの和風のテイストとのマッチングに適しているというのが、乙類焼酎の絶妙さといえるでしょう。
通好みのお酒であることから、食事についてもこだわりのある料理と一緒に楽しむのがベストです。
甲乙混和焼酎では、甲類と乙類の双方の特徴を生かせるので、幅広い料理との相性を楽しむことができるでしょう。
クリーンな味わいと豊かな風味が同時に放たれ、焼き魚・煮物・焼き鳥などの素材の味を引き立ててくれます。
また、グリルした肉料理やクリーム系のパスタ、シーフード料理といった洋食系ともマッチでき、さっぱりとした口当たりを演出するのも魅力です。
多様な料理とのマッチングが楽しめます。
乙類焼酎(本格焼酎)の原料は穀類、芋類、清酒粕、黒糖、その他49品目と、多岐にわたりますが、一般的に多いのは米焼酎・麦焼酎・芋焼酎・黒糖焼酎・泡盛などです。
米焼酎では、一般的に米麹を使用して味を引き出します。
米麹と米による甘みやうま味をダイレクトに感じられるでしょう。
まろやかさと香りの高さがありつつ、スッキリした口当たりです。
また、米焼酎には辛口から甘口まで多様な味の広がりがあり、水割り・お湯割り・ロックなど好みの飲み方ができます。
麦焼酎のテイストは、未発芽の大麦と米麹・麦麹から造られます。
香ばしくフルーティな麦の香りが特徴です。
焼酎の部類でありつつ癖が少ないため、ビギナーが親しめるのも魅力といえるでしょう。
本格焼酎の中でも、わりとリーズナブルな価格帯です。
麦焼酎を飲む際は、ロック・水割り・お湯割りが多いようですが、サワーや酎ハイのベース、レモンやグレープフルーツなど柑橘系果汁との相性も合うのでおすすめできます。
芋焼酎は芋の独特な香りと甘みが特徴です。
焼酎の中でも癖が強めで、それが好みを二分する理由にもなってます。
米麹・麦麹・芋麹などにサツマイモが加わりますが、扱う品種は40種類以上です。
品種によって製品に特徴が出て、より個性的な製品となります。
芋焼酎の味の楽しみ方は、ストレートやロックがおすすめです。
慣れないうちは水割り・お湯割りにしたほうが飲みやすいでしょう。
サトウキビを煮詰めた煮汁から抽出される、黒糖を使用するのが黒糖焼酎です。
「日本のラム」とも呼ばれ、その製造では、奄美諸島に蔵元が約30軒ほどしかないとされています。
本格焼酎の中では強い香りがなく、焼酎ビギナーでも飲みやすいはずです。
味はコクのありつつやさしい甘さと軽快で¥さでスッキリとした飲み口を感じます。
ロック・水割りはもちろん、コーヒー割り・ソーダ割りでも楽しめるでしょう。
よく耳にする噂で、一般的に価格の安いお酒は体に悪いのではというイメージがあります。
焼酎では、甲類焼酎は4L入りといった大容量で、かつ安く売られていることが目立つので、低品質で体にも悪いお酒なのではと不安に思う人もいるかもしれません。
実際には、安価な甲類焼酎だからといって、品質が悪いわけではないのです。
甲類焼酎が安価な価格帯なのは、糖蜜を原料に使用していることで、砂糖を使用するよりもコストを抑えられることが大きいからとされています。
また、複式蒸留器で複数回の蒸留をするので、少ない原料でも効率的に製造がことが可能なことも理由です。
しかも、糖蜜は黒糖を作る際に発生する副産物で、焼酎にも適しています。
結論としては、安価な焼酎のすべてが悪い品質というわけではないのです。
ただし、クセが少なく相性が良いことから飲みすぎてしまいがちなので、カロリーオーバーになって体調に影響を及ぼすことはあるでしょう。
当然、酒量が多くなることは、体に悪影響であるのは言うまでもありません。
厚生労働省が推奨している国民健康づくり運動「健康日本21」によれば、一般成人の飲酒の適量は、1日あたり純アルコールで約20gとなっています。
健康でお酒が強い一般男性を基準とした数値となり、仮に女性の場合なら10〜13g程度が適量だというデータです。
焼酎を飲む際の基準に換算すると、以下のような値になります。
● 男性(純アルコール量20g)・・・ストレートで100ml (グラス約1/2)、水割りで約167ml(グラス約1杯)
● 女性(純アルコール量10~13g)・・・ストレートで50~65ml(グラス約1/4)、水割りで83~109ml(グラス約1/2)
健康面を配慮しながら焼酎を楽しみたいのであれば、これらの数値を意識しながら無理なく嗜んでいくことが大切です。
焼酎は、日本の伝統的な蒸留酒として日本人に深く浸透しています。
さまざまな銘柄が存在し、その風味と飲み方を楽しめるので高い人気です。
主原料としては芋・麦・米・そば・黒糖などが代表的ですが、他にもさまざまな素材が使用されています。
また種別として「甲類焼酎」「乙類焼酎」「甲乙混和焼酎」の3つに大別され、その製造と風味の違いによっても独自なテイストを醸し出すのが魅力です。
甲類焼酎では、連続式蒸留によってクリーンな味わいが出て、カクテルベースとして利用されます。
乙類焼酎は単式蒸留による「本格焼酎」という別名があり、原料の豊かな風味が楽しめるでしょう。
飲み方も、ストレート・ロック・お湯割りなどのオーソドックスなお酒の飲み方ができるので、自分の好みやシーンに合わせて選んで楽しめます。
製造過程と発酵や蒸留の回数なども、アルコール度数に影響が出て、焼酎の多様性になっていくようです。
さまざまな飲み方が可能なので、それぞれの方法による異なった風味や香りも楽しめるでしょう。
ぜひ、甲類や乙類での種類の違いにも注目しながら、好きなセレクトを試してみてください。