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スポーツに補食は適さない?おすすめな補食と注意点を解説!

記事作成日:2025.06.11
スポーツを頑張る方なら、「なぜか思うようにパフォーマンスが上がらない…」「練習の途中で急に疲れてしまう…」という悩みを抱えたことはありませんか?実は、その原因は食事の内容かもしれません。せっかく適切なタイミングで補食を摂っていても、食べ物によってはかえってパフォーマンスを下げてしまうことも少なくありません。本記事では、スポーツ時に避けるべき補食と、効果的な補食の選び方について詳しく解説していきます。
スポーツに補食は適さない?おすすめな補食と注意点を解説!

目次

スポーツにおける補食とは?

スポーツ補食は単なる「小腹を満たすおやつ」ではなく、運動パフォーマンスを向上させるための重要な栄養補給手段です。適切な補食選びはスポーツ成績に大きく影響します。

1-1スポーツでの補食の役割

補食とは、1日3食の食事だけでは摂りきれない栄養素を補うために摂取する食事のことです。特にスポーツをする人にとって、補食には大きく分けて3つの役割があります。まず、運動で消費されるエネルギーの補給が挙げられます。
激しい運動を行うと体内のグリコーゲンが急速に消費されるため、適切なタイミングでエネルギーを補給する必要があります。これにより、運動中のスタミナ低下を防ぎ、パフォーマンスの維持につながります。特に長時間の運動や高強度のトレーニングでは、体内の貯蔵エネルギーだけでは足りなくなるため、途中での補給が大切です。
次に、集中力の維持・向上です。脳のエネルギー源であるブドウ糖が不足すると、集中力が低下し、技術的なミスが増えたり、判断力が鈍ったりします。運動中のパフォーマンスを最大化するためには、適切な補食で脳のエネルギーを維持することが重要です。

1-2アスリートにとっての補食の必要性

アスリートは一般の人よりもエネルギー消費量が多いため、3食だけでは必要な栄養素をすべて摂取することが難しいことがあります。特に、運動量の多いアスリートは、1日のエネルギー消費量が一般の人の1.5〜2倍になることもあります。そのため、補食による追加の栄養補給が必要となります。
例えば、体重60kgの一般の人が1日に必要とするカロリーが約2,000kcalであるのに対し、同じ体重のアスリートなら3,000〜4,000kcalが必要になることも珍しくありません。これだけの量を3食だけで摂ろうとすると、1回の食事量が多くなりすぎて消化に負担がかかります。
また、トレーニングや試合の間隔が短い場合、素早い疲労回復のためにも補食が重要です。運動後30分以内に適切な栄養を摂取することで、筋肉の修復が促進され、次のパフォーマンスに備えることができます。アスリートが最高のパフォーマンスを発揮するためには、計画的な補食が欠かせないのです。特に、トーナメント形式の大会や、1日に複数の試合がある場合は、試合間の短い時間で効率よく栄養を補給する必要があります。

スポーツに適さない補食とは?

補食として選ぶ食品によっては、かえってパフォーマンスを低下させてしまうこともあります。どのような食品が運動時に適さないのか知っておきましょう。

2-1高脂質・高糖質の加工食品

高脂質・高糖質の加工食品は、スポーツの補食としては適していません。これらの食品は、一時的にエネルギーを供給するものの、その後急激なエネルギー低下を引き起こす恐れがあります。特にドーナツやチョコレート菓子などの高脂質・高糖質の食品は、血糖値を急上昇させた後に急降下させるため、エネルギーレベルが安定せず、パフォーマンスが低下することがあります。
また、脂肪の消化には時間がかかるため、エネルギー供給が遅れ、運動中に必要なエネルギーを迅速に供給できないという問題もあります。長期的には、高脂肪食を摂りすぎると、体重増加や代謝の問題を引き起こし、運動能力を低下させる可能性があります。スポーツの補食としては、消化が良く、迅速にエネルギーを供給できる食品を選ぶことが重要です。

2-2消化に時間がかかる食品

消化に時間がかかる食品は、スポーツの補食としては避けるべきです。特に赤身肉や豆類などの高タンパク・高繊維の食品は、消化に時間がかかり、運動中に胃腸の負担を増やすことがあります。これにより、胃腸の不快感や消化不良を引き起こし、集中力を削ぐ原因となることがあります。
また、一部の乳製品(特に固形チーズやクリーム)も消化に時間がかかることがあります。特に乳糖不耐症の人は、これらの食品を摂取するとお腹に不快感を感じることがあり、運動パフォーマンスに悪影響を与える可能性があります。スポーツの補食としては、消化が良く、胃腸への負担が少ない食品を選ぶことが大切です。

2-3添加物や刺激物を含む食品

添加物や刺激物の多い食品は、スポーツの補食としては適していません。人工的な着色料や保存料を多く含む加工食品は、一部の人にアレルギー反応や消化器系の不調を引き起こすことがあります。これにより、運動パフォーマンスが低下する可能性があります。
また、カフェインやアルコールなどの刺激物も、スポーツの補食としては避けるべきです。カフェインは利尿作用があり、体内の水分を排出させる効果があるため、適切な水分バランスを維持するのが難しくなることがあります。アルコールは筋肉の修復を妨げ、回復を遅らせる可能性があります。スポーツの補食としては、自然な食品を選び、添加物や刺激物の摂取を控えることが大切です。

2-4清涼飲料水やエナジードリンクもNG

清涼飲料水やエナジードリンクは、スポーツの補食としては適していない場合が多いです。これらの飲料は高糖質であり、急激な血糖値の上昇と下降を引き起こすことがあります。その結果、エネルギーレベルが不安定になり、運動パフォーマンスに悪影響を与える可能性があります。
また、一部のエナジードリンクには高濃度のカフェインが含まれていることがあります。カフェインは適量であれば一時的に集中力を高める効果がありますが、過剰摂取すると心拍数の上昇や不安感、睡眠障害などを引き起こす可能性があります。

補食選びでよくある失敗例

スポーツをする人の多くが補食選びで間違いを犯しています。パフォーマンスを下げないために、よくある失敗例を知っておきましょう。

3-1お菓子を補食にする

お菓子やスナック菓子を補食として選ぶと、スポーツパフォーマンスに悪影響を与える可能性があります。多くの市販のお菓子やスナック菓子には、高脂質・高糖質・高塩分の成分が含まれています。これらの成分は、エネルギーレベルの急激な変動を引き起こし、持久力やパフォーマンスを低下させることがあります。
また、これらの食品には栄養価の低い「空のカロリー」が多く含まれており、体に必要な栄養素をほとんど提供しないことが多いです。例えば、ポテトチップスやクッキーなどのスナック菓子は、一時的な満足感を得られるものの、運動に必要な持続的なエネルギーを供給するには不適切です。スポーツの補食としては、栄養バランスの取れた自然な食品を選ぶことが重要です。

3-2プロテインやサプリメントを頼りすぎる

プロテインやサプリメントに頼りすぎることも、補食選びでよくある失敗の一つです。確かに、これらの製品は便利で特定の栄養素を効率的に摂取できるメリットがありますが、食事から得られる栄養素を代替できません。特に、天然の食品に含まれる様々なファイトケミカルや酵素など、健康に重要な成分が不足することがあります。
また、一部のプロテインやサプリメントには、添加物や人工甘味料が含まれていることがあり、消化器系に負担をかける可能性があります。特に運動前のプロテイン過剰摂取は、消化に時間がかかり、胃腸の不快感を引き起こすことがあります。スポーツの補食としては、サプリメントよりも自然な食品を中心に考え、必要に応じてサプリメントを補助的に利用することが望ましいでしょう。

3-3タイミングを間違える

補食のタイミングを間違えると、せっかくの栄養摂取が無駄になるだけでなく、パフォーマンスを低下させることもあります。特に運動直前の高糖質な補食は、インスリンの急激な分泌を促し、運動中に低血糖状態(いわゆるインスリンショック)を引き起こす可能性があります。これにより、疲労感や集中力の低下、めまいなどの症状が現れることがあります。
また、運動後の補食が遅れすぎると、筋肉の修復や回復が遅れる原因となります。運動後30分以内(いわゆるゴールデンタイム)に適切な栄養を摂取することで、疲労回復や筋肉の修復が促進されます。スポーツの補食は、摂取する内容だけでなく、そのタイミングも重要な要素であることを忘れないようにしましょう。

スポーツにおすすめな補食の選び方

パフォーマンスを向上させる補食を選ぶためのポイントを押さえておきましょう。適切な選択がスポーツ成績の向上につながります。

4-1炭水化物を中心に

炭水化物中心の補食がスポーツに推奨される理由は、エネルギー供給の効率性にあります。炭水化物は体内でグリコーゲンとして蓄えられ、運動時に速やかにエネルギーとして利用されます。特に、持久系のスポーツでは、グリコーゲンの貯蔵量がパフォーマンスに直結するため、炭水化物の摂取が重要です。
また、炭水化物は消化吸収が比較的早いため、運動前の補食として適しています。バナナやオートミール、全粒パンなどの複合炭水化物は、持続的なエネルギー供給をサポートし、運動中のエネルギー不足を防ぎます。一方、シンプルな炭水化物(果物や蜂蜜など)は、運動直前や運動中の即効性のあるエネルギー源として役立ちます。炭水化物中心の補食は、スポーツのパフォーマンス向上に不可欠な要素と言えるでしょう。

4-2タンパク質・ビタミン・ミネラルのバランス

スポーツの補食では、炭水化物に加えて、タンパク質・ビタミン・ミネラルのバランスも重要です。タンパク質は筋肉の修復と成長を促進するため、特に筋力トレーニングや高強度の運動後の補食に重要な栄養素です。ヨーグルトや卵、プロテインバーなどは、良質なタンパク質源として適しています。
ビタミンやミネラルは、エネルギー代謝や筋肉の機能をサポートする役割を果たします。特に、ビタミンB群はエネルギー代謝に関与し、ビタミンCは抗酸化作用により筋肉の回復を助けます。また、マグネシウムやカリウムなどのミネラルは、筋肉の機能や電解質バランスの維持に重要です。フルーツやナッツ、緑黄色野菜などを補食に取り入れることで、これらの栄養素をバランスよく摂取できます。スポーツの補食は、単なるエネルギー補給だけでなく、総合的な栄養バランスを考慮することが大切です。

4-3コンビニや市販品で選ぶコツ

忙しい日常の中で、コンビニや市販品から補食を選ぶことも多いでしょう。その際のポイントは、栄養成分表示をしっかりチェックすることです。特に、糖質、脂質、タンパク質のバランスを確認し、高脂質・高糖質の食品は避けるようにしましょう。
また、添加物の少ない自然な食品を選ぶことも重要です。一般的に、以下のような市販品が補食として適しています。
・バナナやりんごなどの果物
・プレーンヨーグルト(必要に応じて果物を追加)
・おにぎり(シンプルな具材のもの)
・ナッツと乾燥果物のミックス
・全粒粉のパン
・栄養バー(糖分の少ないもの)
これらの食品は、手軽に入手でき、スポーツ前後の補食として適しています。また、水分補給も忘れずに行い、スポーツドリンク(糖分の少ないもの)や水を一緒に摂取するようにしましょう。コンビニでも賢く選べば、効果的な補食を摂取することができます。

補食の摂取タイミングと量の目安

効果的な補食のためには、適切なタイミングと量を把握することが重要です。スポーツの種類や個人の体質に合わせた調整が必要です。

5-1トレーニング前後の補食タイミング

トレーニング前後の補食タイミングは、パフォーマンスを最大化するために非常に重要です。トレーニング前の補食は、運動開始の2〜3時間前に主食を摂取するのが理想的です。このタイミングでは、おにぎりや全粒パンなど、比較的消化に時間のかかる複合炭水化物が適しています。これにより、運動中に持続的なエネルギー供給が可能になります。
また、運動開始の30分〜1時間前には、バナナやエネルギーゼリーなど、消化の良い軽い補食が適しています。ただし、この時間帯に高糖質の食品を摂取すると、インスリンショックを引き起こす恐れがあるため注意が必要です。
トレーニング後の補食は、運動終了後30分以内に摂取するのが理想的です。この「ゴールデンタイム」に炭水化物とタンパク質をバランスよく摂取することで、筋肉の修復や回復が促進されます。

5-2摂取量と個人差の考え方

補食の摂取量は、個人の体格、運動強度、運動時間などによって大きく異なります。一般的な目安としては、軽度から中程度の運動であれば、補食で100〜200kcal程度を摂取するのが適切です。例えば、バナナ1本(約100kcal)や小さめのおにぎり1個(約150kcal)程度が目安となります。
ただし、個人差を考慮することが非常に重要です。例えば、体重の重い人や高強度の運動を行う人は、より多くのエネルギーが必要になる場合があります。また、消化器系の感受性も個人によって異なるため、自分の体調や反応を観察しながら、適切な摂取量を見つけることが大切です。補食は3食の食事を妨げない程度の量に抑え、主食・主菜・副菜をバランスよく摂取する食事習慣を基本としましょう。

補食に関するよくある質問

補食について疑問に思うことは多いものです。よくある質問に答えて、正しい補食の知識を深めましょう。

6-1補食が不要な場合は?

すべての人がいつでも補食を必要とするわけではありません。特に、運動時間が短い場合(30分以内の軽い運動など)や、直前に十分な食事をした場合は、補食が不要なことがあります。また、体重管理を目的としている場合は、不必要な補食を控えることで、カロリー摂取量を管理しやすくなります。
ただし、以下のような場合は補食が特に重要です。2時間以上の長時間の運動や、高強度のトレーニングを行う場合は、エネルギー補給のために補食が必要になることが多いです。また、朝食を摂らずに午前中に運動する場合や、食事と運動の間隔が4時間以上空く場合も、エネルギー不足を防ぐために補食を検討すべきです。自分の体調や運動強度、目的に合わせて、補食の必要性を判断することが大切です。

6-2サプリメントだけで十分?

サプリメントだけで補食を代替できるかという質問はよく聞かれますが、基本的にはサプリメントだけでは十分ではありません。サプリメントは特定の栄養素を効率的に摂取できる利点がありますが、自然な食品に含まれる多様な栄養素や食物繊維などを完全に代替することはできません。
特に、天然の食品には様々なファイトケミカルや酵素など、サプリメントでは補いきれない成分が含まれています。これらの成分は、栄養素の吸収を助けたり、抗酸化作用を発揮したりするなど、体に様々な健康効果をもたらします。
また、食品から栄養を摂取することで、満腹感を得られるというメリットもあります。サプリメントは、バランスの取れた食事を補完するものとして位置づけ、基本的には自然な食品から栄養を摂取することを心がけましょう。

スポーツと食事についてより深く知りたい方へ

スポーツと食事の関係について詳しく学びたい方には、専門的な資格取得がおすすめです。資格を取得することで、スポーツ選手や運動を楽しむ人の食事サポートができるようになります。

7-1アスリート栄養食インストラクター資格

アスリート栄養食インストラクター®は、スポーツをする人の食事について学べる資格です。この資格を取ると、選手が必要とする栄養や食べ物の知識が身につきます。マラソンをする人と野球をする人では必要な栄養が違いますが、そういった違いを理解して、それぞれに合った食事を教えられるようになります。
試合の前後の食事も大切な知識です。試合前日は消化の良いものを食べるべきですし、試合後はしっかり回復できる栄養が必要になります。この資格では、そんな時間に合わせた食事の選び方も学ぶことができます。
勉強は自宅でできるので、忙しい人でも自分のペースで進められるのが魅力です。テストで70%以上の点数を取れば合格できます。家族のサポートから地域のスポーツチームへのアドバイスまで、幅広い場面で活かせる知識が身につくでしょう。

まとめ

スポーツパフォーマンスを最大限に引き出すためには、適切な補食選びが欠かせません。本記事で解説したように、高脂質・高糖質の加工食品や消化に時間がかかる食品は避け、代わりに消化の良い炭水化物を中心とした栄養バランスの取れた補食を選ぶことが重要です。また、補食のタイミングも重要であり、運動前・中・後のそれぞれに適した補食とタイミングを把握することで、より効果的なエネルギー補給と回復が可能になります。
適切な補食を取り入れることで、運動中の集中力維持や疲労回復が促され、スポーツパフォーマンスの向上につながるでしょう。自分の体と相談しながら、最適な補食の種類とタイミングを見つけ、充実したスポーツライフを送りましょう。

日本インストラクター技術協会編集部
インストラクターの専門性を高めるためや地位向上を目的とした団体である日本インストラクター技術協会(JIA)編集部が運営するコラムです。
美容・健康・ボディケアの資格の筋トレインストラクター、シェイプアップインストラクターや骨格診断士。心理カウンセラー資格のメンタル心理インストラクター、子供心理カウンセラー®、音楽療法カウンセラーや行動主義心理アドバイザー®など様々な資格を認定しています。
日本インストラクター技術協会編集部