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小学校の食育授業とは?学年別の実践例・指導案までわかりやすく解説

記事作成日:2025.06.11
「小学校ではどんな食育の授業がおこなわれているの?」
「低学年と高学年ではどう違うの?」

上記のような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
小学校では、子どもたちの「食べる力」を育てるために、学年に応じたさまざまな食育の授業が行われています。
給食や家庭科の授業だけでなく、地域との連携や栽培体験、デジタル教材を活用した取り組みなど、その内容は年々多様化しています。

この記事では、文部科学省などの資料をもとに、小学校での食育授業の内容や学年別の実践例などをわかりやすく解説します。
小学校の食育授業とは?学年別の実践例・指導案までわかりやすく解説

目次

小学校における食育授業とは?

小学校で行われる食育授業は、子どもたちが「食べる力」を身につけるための重要な教育活動です。
ここでは、小学校の授業でどのように食育が取り入れられているのか、基本的な考え方と学習の流れについて解説します。

● 子どもが「食べる力」を育むための教育
● 家庭科や総合学習を通じて食に親しむ機会をつくる

1-1子どもが「食べる力」を育むための教育

小学校の食育授業は、子どもが「食べる力」を身につけるための大切な教育です。

栄養バランスの理解や食への関心、命をいただく意識など、健康的な生活を送るためには小さい頃からの「食に対する学び」が欠かせません。
特に成長期にある小学生にとって、日常生活と結びついた体験的な学びは大きな意味を持ちます。

例えば、小学校の授業では以下のような取り組みが行われています。

取り組み例 学びの内容
献立の栄養素を分類する授業 栄養バランスの大切さを知る
食材の産地を地図で確認 地産地消や食の循環を学ぶ
食事のマナーをテーマにした道徳授業 感謝の心と社会性を育てる

上記の授業は、単なる知識の習得だけでなく、実際の生活や行動の変化につながるのが特徴です。
子どもが自分で考えて選び、感謝して食べる力を育むには、小学校からの段階的な食育が重要です。
知識と体験を組み合わせた授業が、健やかな成長を支えます。

1-2家庭科や総合学習を通じて食に親しむ機会をつくる

家庭科や総合学習の時間は、子どもたちが「食」について実践的に学ぶ貴重な機会になります。
食に関する知識はもちろん、自分で調理したり、食の背景を調べたりする体験を通して、子どもは「食べること」への理解を深めます。
知識だけでなく、自らの行動や選択に結びつけられる点が大きなメリットです。

実際に、小学校では以下のような授業が行われています。

教科・活動 内容の例 学びのポイント
家庭科 おにぎりやみそ汁を作る実習 自分で作ることで食への関心が高まる
総合学習 地元の農家を調べる
食品ロスをテーマに調査
食の背景や社会とのつながりを学ぶ
給食の時間 食材の説明や調理工程の紹介 食べものへの感謝の気持ちを育む

「作る・知る・食べる」の体験がつながることで、子どもたちは食の大切さを実感します。家庭科や総合学習を活用した授業は、食育をより深く、楽しく学ぶきっかけになるでしょう。

小学校で実践されている食育の具体的な取り組み例

小学校では、子どもたちが「食」に対する理解や関心を深められるよう、体験を通じた多様な食育活動が行われています。
座学だけでなく、給食・調理・地域との連携など、実生活と結びついた学びが特徴です。

ここでは、小学校で実践されている食育の具体的な取り組みについて紹介します。

● 給食を活用した食育|献立表示や食材表示の工夫
● 栽培・収穫・調理体験で食の循環を学ぶ
● 地域との連携や出前授業による体験型学習

2-1給食を活用した食育|献立表示や食材表示の工夫

小学校では、学校給食を活用して子どもたちの「食に関する関心と理解」を育む取組が行われています。
給食は、栄養バランスのとれた食事を提供するだけでなく、食文化・自然の恵み・地場産物への理解を深める教材としての役割も担っているためです。

文部科学省の資料によると、以下のような工夫が実際に学校現場で実践されています。

工夫の内容 教育的なねらい
献立に栄養や食事の意義を記載 栄養バランスを意識する力を育む
食材や地場産物の表示 地元の食材や文化への理解を深める
生産者・産地の掲示 食の背景に関心を持たせる
郷土料理・旬の食材の活用 食文化を体験的に学ぶ
地域の特色を知るきっかけになる

学校給食は日々の食事でありながら、子どもたちが「食べることを学ぶ」大切な教育の場です。表示の工夫ひとつで、食への関心や理解が深まり、将来の健やかな食生活につながります。
(参考:文部科学省「これまでの学校における食育の取組について」

2-2栽培・収穫・調理体験で食の循環を学ぶ

小学校では、栽培・収穫・調理の体験を通じて、子どもたちが「食の循環」や「食の背景」への理解を深めています。

食材の生産に関わることで、命をいただく実感が育まれ、自然や人への感謝の気持ち、地域の食文化への関心につながるためです。

以下のような体験を通じて、食の大切さを学ぶ取り組みが各地で行われています。

体験内容 主な学び
サツマイモの栽培・収穫 育てる大切さ・感謝・探求心
ジャガイモの収穫・
ごっこ遊び
食材への気づき・
自然とのつながり
地場野菜の調達と
給食への活用
食の背景・
生産者とのつながり

体験活動は、子どもたちに「育てる・知る・食べる」のつながりを実感させ、食への関心と感謝の心を育む貴重な学びの機会となっています。

(参考:農林水産省「学校・保育所等での食育の推進」

2-3地域との連携や出前授業による体験型学習

小学校では、地域と連携した出前授業や体験活動を通して、子どもたちが食への関心と理解を深めています。

地域の人々とふれあいながら実際の食体験を行うことで、子どもたちは「食べ物の背景」や「作り手の思い」を実感しやすくなるためです。

以下は、実際に実施された地域連携の食育活動の一例です。

活動名 実施主体 学びのポイント
ファーマーズマーケット見学と調理体験 東海村食生活改善推進員連絡協議会 地元野菜の旬や流通を知る
魚の解体を通した
「お魚まるごと探検教室」
同上 食材の命を学ぶ
魚の部位を知る
伝統野菜の栽培〜調理体験 大阪市港区食生活改善推進員協議会 地元の食文化に親しむ
「食リンピック」の
出張授業
東京家政大学
食リンピック実行委員会
五感を使った楽しい食育

このような体験型学習は、教室だけでは得られない「実感を伴った学び」を子どもたちにもたらし、食を大切にする心を育みます。

(参考:農林水産省 食育活動表彰「第9回 食育活動表彰 事例集」

学年別|食育授業の具体例と指導案

小学校の食育授業は、子どもの発達段階に合わせて内容やねらいが工夫されています。

ここでは、各学年で実施されている食育授業の具体例と指導のポイントを解説します。

● 低学年|食べ物の大切さや食事マナーを楽しく学ぶ
● 中学年|栄養バランスや地産地消の意識を育てる
● 高学年|食と健康・環境問題まで発展的に考える

3-1低学年|食べ物の大切さや食事マナーを楽しく学ぶ

小学校低学年では、食べ物の大切さや食事のマナーを、楽しみながら自然に学べる食育授業が行われています。

この時期の子どもは、興味関心や体験を通じて物事を吸収しやすいため、「楽しい」「わかりやすい」活動を通じて基本的な食の理解や行動が身につくためです。

例えば、以下のような取り組みが実施されています。

主な活動内容 学びのポイント
食べ物の〇✕クイズや紙芝居 食べ物の種類・役割を知るきっかけに
給食当番やマナー指導 感謝の気持ち・正しい食事作法を学ぶ
食材の観察やぬり絵 食への関心・五感を使った学びを促す

こうした体験を通じて、低学年の児童でも楽しみながら「食の基礎」を身につけられるように工夫されています。

3-2中学年|栄養バランスや地産地消の意識を育てる

小学校中学年では、栄養バランスや地産地消について学び、より実生活に即した食の知識と意識を育てる食育が行われています。
この時期の子どもは、自分で選んで食べる機会が増えるため、食品の役割や地域の食材に対する理解を深めることが、健全な食習慣の定着につながります。

具体的な学習活動の例は以下の通りです。

主な活動内容 学びのポイント
食品群カードを使った
栄養バランスクイズ
食品の役割・栄養素の知識を楽しく学ぶ
地元野菜を使った給食メニューの紹介 地産地消の意味を理解し、関心を高める
栄養教諭による授業・資料配布 正しい食事選びの判断力を養う

中学年では、自分で食を選ぶ力の土台を築き、将来の健康的な食習慣へと導きます。

3-3高学年|食と健康・環境問題まで発展的に考える

小学校高学年では、食と健康の関係にとどまらず、環境問題や社会とのつながりまで視野を広げた発展的な食育が実践されています。

思考力や社会性が育つこの時期に、「食」を起点として持続可能な社会や環境への意識を深めることが、より主体的な学びにつながります。

具体的な学習活動の例は以下の通りです。

主な活動内容 学びのポイント
フードロスに関する
ディスカッション
食品ロスの背景と自分にできることを考える力を養う
給食に使われる地場産物の
調査・発表
地域の食文化や環境負荷に対する関心を高める
食品表示や
トレーサビリティの学習
安全な食の選び方・持続可能な消費への理解を深める

高学年の児童は「食べること」が社会や未来と密接につながっていることに気づき、より深い食育の実践が可能になります。

デジタル教材やアプリを活用した現代の食育

近年の小学校や中学校では、アニメやアプリなどのデジタル教材を活用した食育が広がりを見せています。
従来のリアルな体験と組み合わせることで、子どもたちの関心を高め、より深い理解と実践的な学びにつながっているのです。

ここでは、以下のポイントを通じて、現代の食育の新しいかたちを紹介します。

● 小学校の食育授業では、デジタル教材が子どもの理解を深める
● リアルとデジタルの融合で体験を深める
● 中学校ではどんな食育が行われていますか?

4-1小学校の食育授業では、デジタル教材が子どもの理解を深める

小学校の食育授業では、アニメや動画を取り入れたデジタル教材が、子どもたちの関心を高め、食への理解を深めています。
視覚的で親しみやすいコンテンツは、教科書だけでは伝えきれない情報もわかりやすく伝えられるため、子どもたちが自発的に食について考えるきっかけになります。

例えば、マクドナルドが提供する「食育の時間+(プラス)」は、NHKエデュケーショナルが制作したアニメや解説動画を使って、食の大切さや栄養バランスを楽しく学べる教材です。
授業で使える指導案やワークシートも揃っており、小学校高学年を中心に、全国の学校で活用が進んでいます。テーマは「朝ごはんの大切さ」「食品ロス」「食の安全」など多岐にわたり、食育授業の導入として効果的です。

デジタル教材の活用は食に対する興味を引き出し、子どもたちの主体的な学びと実生活での実践力を育むうえで大きな役割を果たしています。

(参考:農林水産省「デジタル食育ガイドブック」

4-2リアルとデジタルの融合で体験を深める

食育の効果を高めるには、リアルの体験とデジタル食育をうまく組み合わせることが重要です。
デジタル食育は、時間や場所を問わずに多くの人とつながれる一方で、リアル体験には五感を活かした深い学びや、より密なコミュニケーションの魅力があります。

リアルの体験では、農林漁業体験などを通じて自然や食材に直接ふれられ、デジタル食育では、オンライン上で多様な参加者と学びを共有したり、食育のきっかけをつくったりできます。

双方のメリットを補完し合えば、場所や手段に縛られず、深く実感できる食育を実現できます。

小学校の食育授業に関するよくある質問

ここでは、小学校の食育の授業に関するよくある疑問についてわかりやすくお答えします。 日常に活かせる食育のヒントが満載なので、ぜひ参考にしてみてください。

● 自宅でできる食育にはどんなものがありますか?
● 手作りでできる食育教材はありますか?
● 中学校ではどんな食育が行われていますか?
● 食育の家庭との連携を強化するためにはどうすれば良いでしょうか?

5-1自宅でできる食育にはどんなものがありますか?

小学校の授業だけでなく、家庭でも手軽に実践できる食育活動があります。
家庭での食事や調理の場面は、子どもが自然と食に興味を持ち、学ぶチャンスになるためです。

例えば、家庭でできる食育の具体例は以下の通りです。

● 献立を一緒に考える
● 買い物で旬の野菜を探す
● 食材の産地や栄養素を調べる
● 調理を一緒に行い、感謝の気持ちを育てる
● 食事マナーや配膳の仕方を実践で学ぶ
● 食育教材(紙芝居・ワークシート)を活用して学ぶ

自宅でも工夫次第で多様な食育が実践できます。子どもと一緒に楽しみながら、食に対する関心と理解を育てていきましょう。

5-2手作りでできる食育教材はありますか?

手作りの食育教材には、身近な材料で簡単に作れて、子どもが楽しみながら学べる工夫が詰まったものが数多くあります。

手作り教材は、子どもの発達段階や関心に合わせて自由にアレンジでき、家庭でも学校でも実践しやすいため、教育効果が高まります。

以下は、家庭や小学校で活用されている代表的な手作り教材の例です。

● 食品群カード(五大栄養素を色分けしたカード)
● 食材ビンゴゲーム(季節の野菜や果物を使ったビンゴ)
● 食育紙芝居(「栄養バランス」や「食事マナー」などがテーマ)
● 食材パズル(野菜の断面や料理の組み合わせを学べる)
● 配膳トレーニングマット(主食・主菜・副菜の配置を学ぶ)

手作りの教材は、紙や布、色画用紙などを使って簡単に作れるうえ、子どもたちの「食への興味」を自然と引き出せる優れた学習ツールです。

5-3中学校ではどんな食育が行われていますか?

中学校では、「食と健康」「持続可能な社会」「消費者としての視点」などをテーマに、より発展的な食育が行われています。

思春期を迎えた生徒は、食習慣が自立する時期であり、栄養面だけでなく社会的な視点から「食」を捉える力が求められるためです。

以下のような授業や活動が、中学校で実施されています。

教科・活動名 内容の例 学びのポイント
技術・家庭科 献立作成と調理実習、
エネルギー・栄養計算
栄養バランスの理解と日常生活への応用力
総合的な学習の時間 フードマイレージや食品ロスについての調査・発表 食の選択が環境や社会に与える影響を考える力
 校外学習 地元の農家・食品工場の見学
地産地消メニューの体験
食の生産・流通の背景を知り、感謝の心を育む

中学校の食育は、将来の健康や社会的責任につながる「考えて選ぶ力」を育てる大切な教育です。高校・社会人へとつながる自立の一歩として、食育の重要性が増しています。

5-4食育の家庭との連携を強化するためにはどうすれば良いでしょうか?

食育の効果を高めるには、学校と家庭が連携して取り組むことが重要です。
食に関する習慣や価値観は、家庭の日常の中で自然と身についていくものだからです。
特に小学校では、授業で学んだことを家庭で実践につなげると、子どもの理解や関心がより深まります。

具体的な連携の方法は以下の通りです。

● 学校から家庭への学習内容の共有(学級通信・プリントなど)
● 献立の工夫やレシピの紹介による家庭とのつながり
● 親子で参加できる食育イベントやワークショップの実施
● 家庭でできる簡単な調理や買い物学習の提案
● 保護者向けの講演会や食育だよりの配信

学校での学びが家庭に波及すれば、子どもが「食べる力」をより実生活で活かせるようになります。
学校と家庭が一体となって食育に取り組むと、子どもの食意識の定着と将来の健康的な生活につながるでしょう。

食育の学びを通して、これからの人生を豊かにしよう

今回は、小学校での食育授業の内容や、学年ごとの実践例について詳しく解説してきました。
小学校での食育は、子どもたちが「食べる力」を育みながら、心と体を健康に育てるための大切な学びです。
授業では、栄養バランスやマナー、食の循環や地産地消、環境や社会との関わりまで段階的に理解を深めていく工夫がされています。

こうした学びを通して、子どもたちは「食べること」が命をつなぐ行為であり、自然や人とのつながりの中にあることを実感します。
給食や調理体験、地域との連携、デジタル教材などを活用した授業は、実生活と結びついた「気づき」や「考える力」を育ててくれるでしょう。

食育は、将来の健康な暮らしの土台となるだけでなく、持続可能な社会をつくるための価値観や、生きる力の基礎にもなります。
子ども時代に育んだ意識と行動は、家庭や地域へと広がり、一人ひとりの人生をより豊かに彩っていくはずです。

まずは身近な毎日の食卓からはじめて、未来につながる一歩を踏み出してみましょう。

日本インストラクター技術協会編集部
インストラクターの専門性を高めるためや地位向上を目的とした団体である日本インストラクター技術協会(JIA)編集部が運営するコラムです。
美容・健康・ボディケアの資格の筋トレインストラクター、シェイプアップインストラクターや骨格診断士。心理カウンセラー資格のメンタル心理インストラクター、子供心理カウンセラー®、音楽療法カウンセラーや行動主義心理アドバイザー®など様々な資格を認定しています。
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