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子どもの味覚は3歳までに決まる?幼児期の食育で大切なことを解説

記事作成日:2025.06.11
「子どもの味覚は3歳までに決まる?」

子どもの食の好みや偏食に悩む保護者の方は少なくありません。
特に3歳までが味覚形成に重要だという情報を目にすると不安になることもあるのではないでしょうか。

この記事では、乳児期から幼児期にかけての味覚の発達段階や、家庭や保育園でできる味覚教育のポイントをわかりやすく解説します。
子どもの味覚を育てるヒントや実践アイデアも紹介しますので、日々の食事づくりにぜひお役立てください。
子どもの味覚は3歳までに決まる?幼児期の食育で大切なことを解説

目次

味覚は3歳までに決まるって本当?

味覚は「3歳までに決まる」と聞いたことがある方も多いかもしれません。
赤ちゃんは、胎児の頃からすでに味を感じる力を持っており、味に対する感受性が特に高い時期が、3歳前後に集中していると言われています。
この時期に体験した味や食材が、その後の味覚の好みや食への意識の土台となっていくのです。

ここでは、「味覚は本当に3歳までに決まるのか?」という疑問に対する答えとして、味覚の発達段階や乳幼児期の味覚形成の重要性をわかりやすく解説します。

● 赤ちゃんの味覚は、胎児期から育ち始める
● 生後から3歳頃までに味蕾の数はピークに達する
● 3歳までに経験する味が味覚の基盤をつくる

1-1赤ちゃんの味覚は、胎児期から育ち始める

赤ちゃんの味覚は、実はお腹の中にいる胎児期からすでに育ち始めています。

妊娠中期頃から味を感じる器官「味蕾(みらい)」が形成され、羊水を通して母親が摂取した味に触れるためです。

具体的には、以下のように考えられています。

● 妊娠20週頃から赤ちゃんの味蕾が発達し始める
● 妊婦が摂ったにんじんや果物の風味が羊水に移る
● 赤ちゃんは羊水を飲み込むことで甘味や香りを体験する
● 胎児期のこうした経験が、出生後の味覚の好みに影響すると考えられている

胎児期から始まる味の体験が、3歳ごろまでに形成される味覚の基盤に大きく関わっているのです。

1-2生まれてから3歳までに、味を感じる力が一番発達する

生後から3歳ごろまでは、味を感じる器官「味蕾(みらい)」が最も多く、味覚の感受性が非常に高い時期です。
この時期の子どもは、大人よりも多くの味蕾を持ち、口の中全体で味を感じ取るため、苦味や酸味にも敏感に反応します。

具体例は、以下の通りです。

● 新生児は舌だけでなく、口の中全体に味蕾がある
● 幼児はほうれん草の苦味を、大人より強く感じやすい
● 味覚が敏感な時期は、濃い味付けを控えたほうがよい
● 薄味の離乳食やだし中心のメニューが、味覚形成に適している

3歳までの間に、できるだけ自然な味にふれさせるのが、将来の偏食を防ぎ、豊かな味覚を育てる基礎になります。

3歳までの味覚の発達段階とは

味覚の発達には段階があり、とくに0〜3歳の時期はその土台をつくる重要な時期です。
ここでは、味覚がどのような順序で発達していくのか、その具体的な段階と特徴を紹介します。

● 生後すぐは本能的に甘味を好み、苦味を避ける傾向がある
● 離乳食期にさまざまな味と出会い、苦味・酸味に慣れる
● 1〜3歳では、うま味や塩味の認識が育ち始める

2-1本能的に甘味には安心を、苦味には警戒を示す傾向がある

赤ちゃんは生まれながらにして甘味を好み、苦味には敏感に反応するといわれています。
生きていくうえで危険な食べ物(毒や腐敗物)に含まれる苦味を避け、安全な栄養源である母乳などの甘味を好むように、本能として味覚が備わっているためです。

例えば、以下のような反応が見られます。

● 砂糖水を与えると、赤ちゃんは安心した表情を見せる
● 苦味のある野菜を与えると、顔をしかめて嫌がる
● 甘味は好みやすく、苦味は本能的に避ける傾向がある
● 味覚の発達は、甘味への反応から始まる

生後間もない時期の味覚は甘味に偏りがちですが、少しずつ苦味や酸味にも慣れていくことが、将来の健全な味覚形成には欠かせません。

2-2離乳食期にさまざまな味と出会い、苦味・酸味に慣れる

離乳食期は、苦味や酸味など、甘味以外の味に少しずつ慣れていくタイミングです。
この時期に経験する味が、将来的にさまざまな味を楽しめる感覚を育てる土台になります。
特に「味覚は3歳までに形成される」とも言われており、1歳〜2歳前後の時期にどのような味と出会うかが、食の好みに強く影響します。

味覚が発達する離乳食期の例は、以下の通りです。

● かぼちゃやさつまいもなど甘味のある野菜は受け入れやすい
● ブロッコリーやピーマンなどの苦味は、何度も繰り返すうちに慣れていく
● トマトやヨーグルトのような酸味は、最初は顔をしかめるが徐々に受容される
● 一口ずつ、素材の味を活かした薄味にするのが効果的

この時期に甘味だけでなく、苦味・酸味などの「苦手とされやすい味」にも無理のない範囲で触れさせることが、味覚の発達をバランスよく促すポイントです。

2-31〜3歳では、うま味や塩味の認識が育ち始める

1〜3歳ごろは、うま味や塩味といった複雑な味を認識する力が育ち始め、味覚の幅がさらに広がる重要な発達段階です。
子どもは、甘味・苦味などの基本的な味の受け止めに加え、食材本来の「うま味」や、料理全体のバランスを左右する「塩味」を感じ取れるようになります。
味覚形成のピークを迎える3歳頃までに、多様な味覚経験を積むことが、健やかな食習慣づくりにつながるとされています。

1〜3歳の味覚発達における食体験の例は、以下の通りです。

● 昆布やかつおだしの「うま味」に反応し、食が進むようになる
● みそ汁や煮物などで、適度な塩味を覚えていく
● チーズや納豆など、複合的な味わいにも少しずつ慣れていく
● 食材本来の風味を活かす「薄味調理」で、味覚が鍛えられる

うま味や塩味といった微妙な味の違いを自然に学ぶと、将来的に偏食を減らし、味覚が豊かな子どもに育てることが期待できるでしょう。

3歳以降に味の好みが偏る理由とその背景

味の好みが偏ってしまう理由には、いくつかの背景があります。
とくに3歳以降の子どもは、感覚の敏感さや食経験の少ないため、苦手な味や食材を避ける傾向が強くなりやすいのです。
ここでは、3歳以降に味覚が偏りやすくなる理由と、その背景にある生活環境や成長過程について、わかりやすく解説します。


● 味の好みが偏るのは、感覚の敏感さや経験不足が影響している
● 家庭や保育園での食習慣が、味の好みに大きく関わっている
● 大人になっても味覚は変化することがわかっている

3-1味の好みが偏るのは、感覚の敏感さや経験不足が影響している

幼児期に味の好みが偏りやすいのは、「感覚の敏感さ」と「味の経験の少なさ」が大きな原因です。
特に3歳以降は、苦味や酸味などに対する味覚の防御反応が強く出やすい時期です。
味覚過敏傾向や、経験の幅が狭いことが、偏食や子ども舌につながる要因となる可能性があります。

味の好みの偏りにつながりやすい特徴や状況は、以下の通りです。

● 苦味に対する敏感さから、ピーマンやゴーヤを極端に嫌う
● 酸味に驚いてフルーツや酢の物を避ける
● 初めての味に対し、「知らない=食べたくない」という拒否反応を示す
● 食べ慣れていないものは口に入れる前から拒否する傾向がある

子どもの味覚の偏りは、決してわがままではなく、発達途中に見られる自然な反応です。
五感を使った食育や、家庭・保育園での繰り返しの体験が「慣れ」として蓄積されると、徐々に食の幅は広がっていきます。

3-2家庭や保育園での食習慣が、味の好みに大きく関わっている

子どもの味覚の形成には、家庭や保育園での「日々の食習慣」が大きく影響しています。
幼児期は、繰り返しの経験によって味覚の好みが定着していく時期のためです。

家庭や保育園での食習慣が味覚に影響する具体例は、以下の通りです。

● 野菜が毎食並ぶ家庭では、子どもも自然と野菜を受け入れやすくなる
● 苦手な食材も、保育園で友だちと一緒に食べると食べられることがある
● 甘いおやつや濃い味の料理に偏ると、素材本来の味を感じにくくなる
● 「食べないと怒られる」という経験が、味そのものの印象を悪くしてしまう

味覚形成は、特別な場面ではなく日々の積み重ねから育まれます。
家庭と保育園が連携し、無理のない形でさまざまな味にふれる機会をつくるのが、子どもの健やかな味覚発達につながります。

3-3大人になっても味覚は変化することがわかっている

味覚は、子どものころに形成されたまま固定されるわけではなく、大人になっても変化する可能性があることがわかっています。
味の感じ方は、年齢・ホルモンバランス・体調の変化などによって左右されるためです。

味覚の変化が見られるケースは、以下の通りです。

● 子どもの頃は嫌いだったピーマンや納豆が、大人になると食べられるようになった
● 妊娠や更年期など、ホルモンの影響で味の好みが一時的に変わることがある
● 健康意識の変化から、濃い味を控えめにし、素材の味を好むようになった
● ストレスや睡眠不足で味を感じにくくなったり、逆に甘味を強く求めるようになる

「味覚は3歳までに決まる」と言われる一方で、大人になってからも味覚はゆるやかに変化します。
だからこそ、子どものうちに幅広い味を経験しておくことが、将来的な味覚の柔軟さにもつながります。

味覚を育てるために家庭でできること

子どもの味覚は、家庭での関わり方ひとつで大きく育ちます。
ここでは、味覚の土台を育むために、家庭でできる具体的な取り組みについて紹介します。

● 五感を刺激する体験が、味覚の土台をつくる
● 旬の食材や基本の味を含む食事が、味覚の幅を広げる
● 「一口だけでもOK」の声かけが、味覚への前向きな意識を育てる

4-1五感を刺激する体験が、味覚の土台をつくる

子どもの味覚を育てるには、「見る・触る・嗅ぐ・聞く・味わう」五感をフルに使った食体験が重要です。
味覚は口の中だけで感じるものではなく、香り・見た目・食感・音などの複数の感覚が連動して育まれるためです。

五感を活かした家庭での工夫例は、以下の通りです。

● 色とりどりの野菜を一緒に盛り付けて「見た目のおいしさ」を楽しむ
● 果物や野菜に触れて、ザラザラ・ツルツルなど「手触りの違い」を感じる
● ハーブやカレー粉の香りを嗅がせて、においと味のつながりを知る
● カリッ・シャキッとした音を楽しみながら、食感と音の楽しさを意識する
● 「これどんな味かな?」と会話をしながら、味覚と言葉の結びつきを深める

3歳ごろまでの味覚形成期に、五感を刺激する体験を家庭で積み重ねると、子どもの「食べる力」を育てる基礎になります。
ただ食べさせるだけでなく、食そのものを感じる時間を大切にしましょう。

4-2旬の食材や基本の味を含む食事が、味覚の幅を広げる

子どもの味覚を豊かに育てるには、旬の食材を取り入れながら、五つの基本味をバランスよく経験させるのが大切です。
この時期にどんな味に触れるかが、将来の「味の好み」にも大きく影響するためです。
特に、旬の食材は香り・食感・栄養価も高く、味覚形成に最適です。

家庭で取り入れたい食体験の例は、以下の通りです。

季節 旬の食材(例) 経験できる味覚
たけのこ・菜の花 苦味
トマト・きゅうり 酸味・みずみずしさ
さつまいも・栗 自然な甘味
大根・白菜 うま味・やさしい苦味
通年 味噌汁(昆布・かつお出汁) うま味

季節の味や素材の風味を繰り返し体験するのは、味の感性が豊かになります。
好き嫌いを減らし、バランスよく食べる力を育むためにも、日常の食事に旬と多様な味を取り入れる工夫が効果的です。

4-3「一口だけでもOK」の声かけが、味覚への前向きな意識を育てる

子どもに対して「一口だけ食べてみようか」と声をかけることで、味覚への興味や挑戦する気持ちが育ちやすくなります。
3歳ごろの子どもは、味覚の発達段階にあり、苦味や酸味を本能的に避ける傾向があります。
無理に食べさせると「嫌い」という印象が固定されてしまうため、まずは安心できる範囲での体験が大切です。

例えば、「少しだけ舐めてみようか?」「においをかいでみよう」など、五感を使った声かけをすると、子ども自身が興味を持ちやすくなります。苦手だったピーマンでも「今日は一口だけチャレンジしてみた!」という達成感が、次への前向きな気持ちにつながるのです。

「一口だけでもいいよ」という寛容なアプローチは、子どもの味覚形成に効果的です。
経験を重ねると少しずつ食べられるものが増え、偏食の改善にもつながるでしょう。

保育園や幼稚園での食育と味覚への影響

保育園や幼稚園での食育は、子どもの味覚形成に大きな役割を果たしています。
ここでは、保育園・幼稚園で実践されている食育の取り組みと、その味覚への影響について具体的に解説します。

● 多様な食体験が味覚の発達を促す
● 園での偏食対応が味覚のバランスを整える
● 園と家庭の連携が味覚形成に大きく影響する

5-1多様な食体験が味覚の発達を促す

保育園や幼稚園でのさまざまな食体験は、子どもの味覚を豊かに育てるうえでとても重要です。
幼児期は、毎日の給食や行事食、クッキング保育などの活動が、五感を刺激し、食への関心や味の幅を広げる助けになるためです。

多様な食体験の具体的な内容は以下の通りです。

活動内容 味覚への影響
行事食
(節分・ひな祭りなど)
季節の食材や伝統的な味への親しみを育む
給食のバリエーション 日常的にさまざまな味に触れ、食の幅が広がる
クッキング保育 作る楽しさと共に、味の違いや食材の変化を体験
食材あてクイズ・
絵本の読み聞かせ
食材への興味と味覚の認識を自然に高める

園での多彩な食育活動は、子どもが「楽しく」「自然に」味覚を発達させる大きなきっかけとなります。
食べ物への苦手意識を和らげ、将来の食生活の土台づくりにもつながるでしょう。

5-2園での偏食対応が味覚のバランスを整える

保育園での丁寧な偏食対応は、子どもの味覚の発達を促し、将来的な食のバランスを整える助けになります。
3歳ごろは味覚の基礎がつくられる大切な時期であり、この段階で「苦手な味」に慣れる経験を積むことが、好き嫌いの克服につながります。
家庭だけでは難しい対応も、園では保育士・栄養士が連携し、無理なく段階的に進められるのが強みです。

園で実践されている偏食対応の工夫は、以下の通りです。

対応方法 目的・効果
苦手な食材を他の食材と混ぜて提供する 強い苦味や酸味を和らげ、少量から慣れる工夫
「一口チャレンジ」で達成感を持たせる 無理強いせず、前向きな体験として味覚を広げる
給食の盛り付けを
少量からスタート
見た目の圧迫感を避け、子ども自身が「食べてみよう」と思える工夫
食材の名前や特徴を楽しく紹介する紙芝居や絵本 食への興味を高め、自発的な「食べたい」気持ちを引き出す

保育園での偏食対応は、単なる食べさせるための工夫ではなく、「味覚を育てる」ための大切なサポートです。
幼児期に食の幅を広げる経験は、将来の健康的な食生活の基盤となります。

5-3園と家庭の連携が味覚形成に大きく影響する

幼児期の味覚形成には、保育園と家庭が連携して一貫した食育を行うことが欠かせません。
3歳前後は「味覚の土台」がつくられる重要な時期のためです。

保育園と家庭が連携して味覚形成を支えている取り組みは以下の通りです。

連携の取り組み 効果・ねらい
給食の食材やレシピを家庭に共有する 家でも同じ食材に親しみやすくなり、味覚の一貫性を保てる
食育だよりやワークショップを通じた情報共有 保護者も食の重要性を理解し、協力しやすくなる
苦手な食材を園と家庭で
同じ方針で進める
子どもが安心して挑戦でき、徐々に受け入れやすくなる
食べたもの・反応の記録を
交換する
子どもの好みや変化に気づきやすく、きめ細かな対応ができる

園と家庭が連携すると、子どもは無理なく多様な味や食材に触れる機会を持てるようになります。
こうした積み重ねが、豊かな味覚と健やかな食生活の基盤となるのです。

3歳までの味覚体験が食べる力の基盤になる

幼児期における味覚体験は、その後の「食べる力」を支える重要な基盤になります。

特に0〜3歳の時期は、味蕾の発達がピークを迎え、さまざまな味への感受性が育まれる大切な時期です。
幼少期に出会った苦味・酸味・うま味などの多彩な味の記憶は、その後の食の選択や食事への前向きな関心、健全な食習慣づくりに深く関係します。

また、家庭や保育園での食育を通して五感を使った食の経験を積むことが、子ども自身の食べる力を育むための出発点になります。

3歳までの味覚の育ちはその後の食とのつき合い方に長く影響を及ぼす重要な時期だといえるでしょう。
だからこそ、大人が意識的に「味覚を育てる環境」を整えてあげることが、子どもたちの未来への贈り物になるのです。

日本インストラクター技術協会編集部
インストラクターの専門性を高めるためや地位向上を目的とした団体である日本インストラクター技術協会(JIA)編集部が運営するコラムです。
美容・健康・ボディケアの資格の筋トレインストラクター、シェイプアップインストラクターや骨格診断士。心理カウンセラー資格のメンタル心理インストラクター、子供心理カウンセラー®、音楽療法カウンセラーや行動主義心理アドバイザー®など様々な資格を認定しています。
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